(dTV)
SFCの同名ゲームの映画化。……といっても、正確にはSFCを元にした小説を原作として、という関係になっている。
割と最近見たのだけどレビューするためにわざわざ二周目。ゲームはたしかちょっとやって積んだっきり。
映像はかなり特殊な感じ。色彩感覚が特殊というか、極彩色を使われておりかなり異質な印象を受ける。作中に使われているCGもかなり浮いて見えるというか、おそらくわざとゲームのポリゴン的に作っている。実験的であるし、この辺りはかなり好みが分かれるかと思う(私は、尺が短いのである程度は許容出来たが、レビューサイト見るに評判は最悪だった模様。見づらい・目に悪そうってのは大いに同意する)。
序盤のPOVでの館探索は結構雰囲気が出てはいる。薄暗い屋敷の中で探索者視点から見る階沢蒼一の絵はとにかく不気味で良い。時折映しだされる謎の監視カメラの映像もなかなかに気味が悪い。
……しかし残念なことに、本作はホラー要素が妙に薄い。かなり館の雰囲気に助けられている。「ホラー」ってものには色々あるけれど、本作は廃墟探索のドキドキだけはある。だが、それだけといった感じもとても強い。
オチに関しても、二転三転するものの「だからどうした」止まりで、何もストーリーにまったく生きていないのが難点。二度目の「アレ」(ぼかした表現)も、観客置いてけぼりでギャグにしか見えない。
本当、雰囲気だけは好きなんだけど、評価は出来ないな……館の雰囲気だけに1.5を付けたい気分。
+クリックでネタバレ感想
男だから二卵性のはずなのに、まるっきりそっくり(奥菜恵が二役やっている)のはちょっと無理があるよなぁ。そもそも男である必然性がまったくないってのも難点。人員削減にしか思えない。
「二周目のエンディング」はCGでややかっこいい表現されてるしその試みは買うけども、せっかくそれなりで終わったネタをわざわざ自ら覆してどうするんだと。
オトシモノ
(2006年公開 古澤健監督) ★★☆☆☆
《2017-07-09》
“オトシモノ”の定期券を拾った人々が次々と行方不明になる事件が起こる。消えた妹を捜す女子高生・木村奈々は、クラスメイトの藤田香苗と共に謎の解明に乗り出すのだが…。
(Amazon)
ある女が無くした「落とし物」を拾った人が次々と亡霊みたいな感じになっていくホラー。若い頃の沢尻エリカや小栗旬が出ている。若槻千夏はいまとあんまり変わらないな……。
わりとポピュラーなタイプ。多そうで意外と少ない、鉄道ホラーでもある。撮影で駅構内や電車を使う都合上、ある程度予算がないと鉄道ホラーは作れないということか。
良くも悪くも普通な感じ。映画として押さえるところは押さえており、見どころも作れてはいる。が、そこまで怖くもなく、ホラーというよりは女の子の友情モノとして見るのが良い気がする。
結局一番気になることが明かされないなど、個人的には最後の方があまり好きではないのだが、ホラーにしては余韻がいいので、そういうのが見たい人にはおすすめ。
おろち
(2008年公開 鶴田法男監督) ★★★★☆
《2015-08-09》
人の世をさまよい、人間の心の闇を見つめてきたおろち(谷村美月)が家政婦として潜り込んだ門前家には、二人の美しい姉妹がいた。当家の女性は29歳を過ぎるころには突然、その美ぼうが崩れ、果ては化け物のように醜く死んでいくという。ある日、妹の理紗(中越典子)は死にゆく母親の口から、もう一つの門前家の秘密を打ち明けられる。
(シネマトゥデイ)
楳図かずおの漫画の実写化。
谷村美月演じる不老不死の女性・おろちの目線から語られる、ある姉妹の一代記。ホラー版家政婦は見たといったところ。
仲の良かった姉妹のギスギスと迫り来る運命への恐怖を、木村佳乃が熱演している。後半にかかるまでやや退屈ではあるし、楳図かずおの漫画に代表されるように不条理なシーンが目につくが、ラストはまさに壮絶である。このシーンの為だけに、いままでのものを積み重ねていたと言っても過言ではない。
またエンディングの柴田淳の「愛をする人」の雰囲気も、この映画と合っていて非常に良い余韻を与えてくる。
本作はホラー的な恐怖はほとんどないものの、画面の(色使いの)綺麗さ、木村佳乃の怪演もあって、充分佳作であるといえるだろう。
怨廻
(2005年公開 福居ショウジン監督) ★★★☆☆
《2015-09-21》
引きこもり生活を続けるアキコの唯一の楽しみは、タケシという男性が運営する個人サイトを眺めることだった…。
(Amazon)
レンタル用パッケージに「輪廻に続くJホラー」云々って書かれていたような気がしたが、当該作品とは無関係もいいところ。雰囲気からして全く違うので、そういうのを期待して見ると肩透かしを食らう。なんだこの売り文句……。
最序盤は延々と引きこもりの生活を描いていて「なんだこれ……」と思わされるが、そこからの展開が普通のホラーとは異なっていて「!?」となる。話のネタ自体はそれなりに求心力があるのだが、ややテンポが悪い……というか、全体的にダラダラとしている。前衛性は感じ取れるのだけど……。
三十分経っても、なかなか話が進まず、登場人物による怖い話が挿入される。この話は妙にテンポが良い。
四十五分経ったあたりから、ようやく色々なことが起き始める。いや、実際はかなり早くから起きてはいるのだけど、話が本格的に進み始める……が、やはり何が起きてるのかよくわからない。狙ってやっているのだろうとは思うのだが、かなり人を選ぶことになっている。少なくとも「Jホラー」を期待して見る人にはまず向かない。
ある意味怖いことは怖いのだが、この怖さはいわゆる幽霊的な怖さではほとんどない。世にも奇妙な物語の感覚に近い。意外なオチもあることはある。一応、伏線も用意されていたことがわかる仕組みになっている。個人的に嫌いではないものの、積極的におすすめはしない。少々変わったホラーを見たい方は見てもいいかもしれない。しかしいかんせん長いし、ある部分まで間延びしすぎているというのが難。