baseline和ホラー映画日和 え

 エクステ(2007) ★★★☆☆
 エコエコアザラク R-page(2006) ☆☆☆☆
 エコエコアザラク B-page(2006) ★★☆☆☆
 閲覧注意 私ノ最期ヲ見テクダサイ (2013) ★★☆☆☆
 エロ現場 ~TV放送禁止の危ない映像~(2010) ★★☆☆☆
 縁切り村 ~デッド・エンド・サバイバル~(2010) ☆☆☆☆☆


エクステ

(2007年公開 園子温監督) ★★★☆☆
《2015-08-20》   


美容師を目指す優子(栗山千明)は、ダンサー志望の友達(佐藤めぐみ)と同居していた。ある日、港のコンテナから大量の髪の毛と少女の死体が発見されるが、死体は何者かに盗まれてしまう。その後、エクステをつけた客が怪死する事件が起こり始め、優子が働く美容室にも山崎(大杉漣)という謎の男がエクステを売りに現れる。
(シネマトゥデイ)

 園子温監督のホラー映画。栗山千明様主演。無念の死を遂げた少女の髪の呪いによる連続怪死事件を描く。
 やや過剰とも思える主人公の独白は、相変わらずの園子温という感じ。だが物語を進めるのと同時に状況説明をするのはやはり賢い。結構長い映画ではあるのだが、かなりテンポは良い。次々とシーンを繋げることで、視聴者を飽きさせないような構成にもなっている。
 しかしなにより本作を語るのに欠かせないのは、なんと言っても大杉漣の存在だろう。異常事態にも平気で順応し、更に物事を引っ掻き回す。まさに狂演とでもいうべきか。なんというか、ホラー映画だとかそういうのがどうでも良くなってくるレベルに強烈である。

 気持ちの悪い描写はあるものの、ホラー的にはそこまで怖くはない。私がエクステとは全く関係のない生活を送っているからかもしれない。そういった意味では人を選ぶ作品であると言えるだろう。どちらかというと怖いというより、シュールである。ホラーなのだが、ホラーになりきれていない感じは否めない。襲ってくるのがうねうね動く髪の毛なのだから、それも仕方ない。リアリティもないので、人によってはギャグに見えるかもしれない。
 しかし大杉漣の狂った演技は一見の価値がある。それと栗山千明様ファンも楽しめるだろう。




エコエコアザラク R-page

(2006年公開 太一監督) ★☆☆☆☆
《2015-08-08》   

[美少女][超能力][ゴシック]

あなたは、明日死ぬ――

雲ひとつない空から、突然巨大な“ひょう”が降ってきて多くの犠牲者を出すという奇妙な現象が起こった。1年後、謎の事故を追ってその町を訪ねたジャーナリストの隆(虎牙光揮)は、黒魔術を操る黒井ミサ(近野成美)と出会う。“破壊の悪魔・エゼキエル”の復活を予言するリーダーの使命を受けて調査していたミサは、隆と協力して事故の真相を探るが……。
(シネマトゥデイ)

 古賀新一のホラーコミックが原作の映画の前編。黒魔術を使う黒井ミサが、活躍するオカルトホラー・サスペンス。

 ゴシックホラーといった雰囲気は良く出来ている。
 しかし、しょっぱなから登場人物が大量に出現してややわかりづらい。またテンポがあまりに早すぎたり衒学的というか妙に遠回しなセリフ回しのおかげで、原作を多少読んだ人間でも話の筋が追いづらすぎる。そのせいで登場人物の行動理由もいまいち掴み損ねる。正直、どうしてそんな行動をとるのかわけがいちいち理解できない。
 また何が起きてるのかよくわからないため、恐怖的なシチュエーションになっても、何を恐れているのかがまったくわからない。結局のところ、目障りのいい、意味深なシーンを羅列していっているだけの感覚が否めない。後半に至ってはセリフもなくシーンを並べてるだけで、ほとんど意味が分からない。
 主演のミサの役の近野成美は演技はともかく可愛かったが、それくらいしか語る部分のない困った作品である。




エコエコアザラク B-page

(2006年公開 太一監督) ★★☆☆☆
《2015-08-08》   

[美少女][超能力][ゴシック]

悪魔は、ここにいる――

1年前の大惨事で重傷を負った写真家のリョウ(高木りな)は、意識が回復すると病院から消え行方不明となっていた。久々に町を訪ねた黒井ミサ(近野成美)は、町でささやかれるうわさから“破壊の悪魔・エゼキエル”がいまだに滅んでいないことを察知。リョウの消息を追って単独調査を開始したミサは、驚くべき事実を知るが……。
(シネマトゥデイ)

 本作は一応前作の続きである。とはいえ、前作との関連性は共通する舞台と登場人物くらいなので、この作品単独でも見れる。
 今回は連続バラバラ殺人事件の調査と、やはり描写は圧倒的に不足しているが、ストーリーラインは前作と比べて遥かにわかりやすい。とはいえ犯人や行動動機もほとんどしょっぱなから明かされてしまうあたり、サスペンス要素はかなり乏しい。
 更にわかりやすいと言っても前作に比べて、というだけであり、やはり登場人物が何をしたいのかが上手く描かれていない。ラストのオチに関しても、伏線がまったくといってないのが難点。
 とはいえ、前作よりは面白いのでまだマシ。




閲覧注意 私ノ最期ヲ見テクダサイ

(2013年公開 新生璃人監督) ★★☆☆☆
《2015-08-02》   


「誰かいる・・・」「私も殺される・・・」 2013年夏、4人の少女たちを映したひとつの映像が見つかった。そこに記された光景は撮影者を次々と殺戮していく悪霊の姿。狂い叫ぶ声、闇夜に響き渡る悲鳴・・・死と隣り合わせの戦慄の7日間。 未曾有の恐怖に巻き込まれる禁断の鮮血ホラー!!
(dTV)

 BeeTVによるフェイク・ドキュメンタリー作品。
 「MONDAY」から始まる一話6分ほどの、一週間分の連作。

 驚かせることに特化した、かなりド直球なホラー。
 映像はかなり荒く、合間合間に気持ちの悪い画像が差し込まれる。おそらくそんなに予算は使われていないので、よく見るとCGはやや荒く安っぽいが、低予算ながら臨場感がありPOVの利点は上手く使えてる。ホラー的驚きも、かなりふんだんに盛り込まれている。
 しかし、ところどころモキュメンタリーを放棄してしまうシーンがあったり、オチが投げっぱなしな点はマイナス。

 それなりに怖く作られているので、単純に恐怖作品を見たいひと向けの作品である。



エロ現場 ~TV放送禁止の危ない映像~

(2010年公開) ★★☆☆☆
《2015-09-11》   


番組制作会社から入手した禁断のお蔵入り映像を公開。とある潜入レポートを敢行した番組収録は順調に終わると思われていたが、思いもせぬ事態によって現場はパニック状態に。人々がカメラの目の前で発狂していく信じられない映像の記録。
(キネマ旬報社)

 「テレビ放送できなかった禁断映像」と称し、AV女優さんとかが出てる放送禁止になったという映像を、という体で紹介する。一応、フェイクドキュメントの形になるのかな? レンタルショップでの分類は「セクシー」となっていた。
 ……というわけで(どういうわけだか)、本作には一時間程度の映像が二本収録されている。

コスプレイヤー密着取材編
 廃墟マニアの男がある廃墟で見つけたビデオテープ。
 作中で架空の番組(前述のビデオテープ)をそのまま流すのだけど、微妙なギクシャクがある。見ててディレクターがやたらつっかかってくる。司会者のみひろも頑張って回してるが、それにちょっとキレかけてる。物事が本格的に進むのは30分過ぎてから。ここまでが結構だるい。
 そこからはある事件をきっかけに、POVでの廃墟探索となる。まさしくこっからは狂乱である。廃墟の学校を動き回るカメラはなかなか不気味。ちらほら「なんでこんな状況でカメラ構えてるの」ってシーンはあるものの、狂気に陥った人々は見ていて結構好き。
 ただまあ、悪趣味に走り過ぎってのはあるかもしれない。エロゲのやり過ぎである。

最新風俗取材編
 ある心霊スポットでの企画の撮影中にある事故が起き、お蔵入りになったという映像。
 なぜか心霊スポットとお色気という企画を撮ろうとしたらしい。主役のなめだるま親方は実在する風俗ライターの方で、本来はドッキリを志向して作ろうとしていた企画だったのだが、その最中に事故が……という内容。
 いかにも古臭い感じのフィルムで撮られていて、地味に気味が悪い。VTR中で怖い話が語られるのだけど、これはいまいち怖くない。
 こちらはホラーというかなんというか、ミステリー風味がやや強い(山本清史が監修しているとかで、本人も出てくる。氏は「赤いシール事件」というミステリ短編を書いたことがある)。思いの外、フェアに作ってはある。

 しっかし、どちらも登場人物の人間関係というか、人間同士のいざこざが無駄にリアルで無茶苦茶胃にくる。
 ホラーとしては、まあツッコミどころは多いものの、嫌いではない。どちらかというといやーな話が見たいひと向けである。



縁切り村 ~デッド・エンド・サバイバル~

(2011年公開 椿光一監督) ☆☆☆☆☆
《2017-07-04》   


とある地方の山奥にある村、縁切り村。全国から参拝者が後を絶たない、悪縁を断ち切る神社『縁切り神社』で知られる過疎の村が舞台。東京から来たTVクルーが、グルメ番組『地方でグルめし』撮影の為にこの村を訪れる。プロデューサー槙野庸子(岡田真由香)と撮影班は、村の青年大崎一樹(八神蓮)に観光地やグルメスポットを案内されながら、村長(斉木しげる)を中心とした村の長老達の画策する忌まわしい陰謀に巻き込まれる。親しき友人や仲間の『縁』を切り裂く恐ろしい怨霊『縁切り様(藤江れいな)』の呪いに 翻弄され、山奥のキャンプ場に取り残されたクルーは、一人、また一人と犠牲になっていく。増殖する謎の生霊『蛭魔(ひるま)憑き』の恐怖から逃れ、はたして彼らは生きて再び『縁切り村』を脱出することができるのか?
(Amazon)

 この安っぽさはちょっと名状しがたい。開始数分で「おっ、やばいぞ」というのがわかる。幽霊的な描写も、人物を50%くらい透過処理してそのまま重ねたなというのが見えてくる。
 そして序盤は完全に観光ビデオの趣きがある。バラエティ番組の撮影をしている、という設定の都合もあるが、食べ物を紹介するシーンが非常に多い。
 どうも本作、「地域密着型」と称して、舞台になった地元住民をエキストラとして起用しているらしい。

 そんなこんなでのんびりとした感じで、ゆるゆると物語は進んでいく。一応、伝奇的なバックボーンがあり、おそらく『土葬の文化のない日本でゾンビものをやろう』と考えた感じなのだが、まったく緊張感はない。かと思いきや、突然青年マンガのような展開が始まる。無茶苦茶である。
 しっちゃかめっちゃかではあるが、次に何が起こるのか予測できないので、そういう点ではある意味楽しめるという部分も微かにある……いや、そうでもないな。「縁切りヶ丘病院」という縁起の悪すぎる名前で笑ってしまった。
 本作はまず人には勧められない。なにより恐ろしいのは、本作が劇場公開作品で、しかも3Dでもあったらしいということだ。逆にスゴい。藤江れいなはわりとかわいい。

 なぜかEDや挿入歌がコミネリサ。昔の友人にたまたま会うように主題歌が知っているアーティストというのは、マイナーホラー映画界隈ではままある。これは良曲なので聴いてほしい。しかしこの曲、ダウンロード販売しかしてない感が……。





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