(Wikipedia)
あまりにも残虐すぎる内容から映倫と揉めたという、悪名高いオールナイトロング。ホラー映画というよりはゴア、スラッシャー、スプラッター映画の区分。本シリーズの1~3は国内ではDVD化されていない……のだが、海外でその1・2・3がBOXとしてまとめられているものが発売していたので、入手が面倒だが見れないわけではない(上のアフィ画像はVHS)。
少年三人が、精神異常者が女性を殺しているのを取り押さえる。その縁で出会った少年たちは意気投合し、そこで乱交パーティを開こうと計画する。
オタクやモテるにはあと一歩の、海外ではナードと呼ばれるような、カースト下位の少年たちの鬱屈。そしてある出来事をトリガーに起こる、虐殺の物語だ。
……が、別にそこまで面白いわけではない。たしかに彼らの窮屈な境遇は、わからないでもない。オタクが市民権を得ていて、ここまで卑屈でいることを強いられている時代ではない今現在見ているから、というのもかなりあるのだろうと思う。グロシーンに関してもそこまでではない。
なお本作の余談には、後の声優・柚木涼香が出ているというオタクらしいオチがつく。本作での出番は極僅かだが、シリーズ1〜3までにそれぞれ別の役で出ている。
オールナイトロング2
(1995年公開 松村克弥監督) ★★★★☆
《2017-07-16》
ロリコンでオタクな高校生である野田俊一は、中学校時代の同級生であり、裕福な家庭の息子でありながら病的な選民意識の持ち主で、学校の不良達を取り巻きにする平田丈に同性愛的な執着をされ、凄惨なイジメのターゲットにされていた。夏休み中には理不尽な金の要求もされ、耐え切れなくなった俊一はパソコン通信の世界に救いを求めるも無下にされるが、その時騙された男性二人と友人関係になる。夏休み最後の日、友人達とそのうちの一人の彼女もやってきてのパーティに複雑な思いに駆られる時に、丈と取り巻き達が現れ、理不尽と狂気に満ちた暴力の狂宴が始まる。
(Wikipedia)
初っ端からガレキのフィギュアのバラバラのものを組み立てるシーンや、ハンドルネームの紹介があるなど、オタクの物語であることがより強調されている。パソコン通信なども出てくるので、ある意味では「電車男」の元祖でもあるといえなくもない(それはない)。なお前作との関連はない。
普通のオタク学生が、謎のサイコパスマンの影響を受けて狂っていくストーリー。ではあるものの、ストーリー性はあまりなく、ほとんど暴力シーンである。
「やってはいけないこと」「しかし目を背けるには魅力の強い」というシーンが序盤から多い。前作と比べて、下品さも悪趣味さも大幅に増し、地獄みたいなことになっている。エログロ性暴力同性愛加虐趣味、人間が思いつく限りの悪意に満ちたものになっている。前作より格段に描写がエグくなっている。
前作の
『オールナイトロング』でもある出来事をトリガーに、少年たちが狂気に駈られ虐殺を起こすが、本作もそれは健在。主人公のキャラのギャップがすごいので、その部分は必見。
総じて『悪意と虐殺を見せよう』という目的が洗練され、それを求めて見る人を満足させられる出来になっている。
オールナイトロング3
(1996年公開 松村克弥監督) ★★★☆☆
《2017-07-16》
沢田菊雄はラブホテルでアルバイトする大学生。趣味は食虫植物の栽培である。ある日、菊雄はひとみが捨てたゴミ袋を盗み、ひとみの生活を覗き見することが楽しみになる。そんな菊雄の前に、「ダスト・ハンター」(=スカベンジャー)を自称する男・川崎(元革命闘争戦士)が現れる。彼に誘われて家に行ってみると、そこにはゴミの持ち主たちの個人情報を無数にまとめたファイルがあった。菊雄もひとみのゴミから、ひとみの個人情報を収集し始める。
(Wikipedia)
ストーカー、窃視、ゴミ漁りと「好意」の負の要素を煮詰めて凝縮させたような、どす黒い作品。
多少の疵はあれど物語開始時点はまだまともだった主人公の1と2と比べ、今作の主人公は既に初めから破綻している。序盤こそゴミ漁りなど比較的内側で完結していた狂気が、徐々に外側に漏れ出していく。
これは主人公の『恋』の物語だが、他者から見ればどこまでも一方通行の自慰行為の話でしかない。
本作は
前作と比べるとスプラッター表現は少し控え目になっているが、その分汚物表現などの精神的に参るような、特殊性癖なシーンがかなり多い。というかほぼ全編そんな感じ。なので別の意味で注意が必要。
オールナイトロング 誰でもよかった
(20096年公開 松村克弥監督) ★☆☆☆☆
《2017-07-16》
狂気を秘めた青年が美人姉妹の住むマンションに押し入り、妹を幽閉。その後、なにも知らずに姉が帰宅して……。
(TSUTAYA)
自称サイコパス自分語りマンが下品なエロ姉妹の部屋に立てこもってイキるよという話を一時間半やられてもなぁ……という印象。
ちなみに本作公開のちょうど一年前が、秋葉原の無差別殺傷事件なので、そこに乗っかった感が強い。なぜか清水崇が『監修』として入ってるが、正直自主制作映像っぽさが強い。
基本的にはあまり面白くはないのだが、この主人公(?)たる立てこもり犯がなかなか珍妙なキャラクターをしており、逆にクセになってくる部分は多少ある(というかそれくらいしか楽しみがない)。
物語がかなり後の方になってやっと、オールナイトロングらしさが出て来るが、根本的なキャラクター設定のせいで、ギャップが少なくのメリハリがあまりない。それを差し引いても、適当な内臓の作り物とかをベロンと出しているくらいなので、スプラッタを求めるには微妙。一応、過去シリーズの虐殺へのアンサー的なものとも読み取れるストーリーだが、効果的に機能しているかというと……。
前張りがモロに見えてる映画を初めて見たよ!!