baseline和ホラー映画日和 あ

 アイズ(2015) ★★★★★
 青鬼 (2014) ★★★☆☆
 青鬼 ver2.0(2015) ★★★☆☆
 悪夢探偵(2007) ★★☆☆☆
 悪夢探偵2(2008) ★★★☆☆
 悪夢の童話~現代版サイコホラー~ (2014?) ☆☆☆☆☆
 アコークロー (2006) ★★☆☆☆
 讐 ~ADA~ 第一部 戦慄篇/第二部 絶望篇 (2013) ★★☆☆☆
 穴 (2004) ★★☆☆☆
 Another (2012) ☆☆☆☆
 アナザヘヴン (2000) ★★★☆☆
 あなたの知らない怖い話 (2011) [シリーズ] ★★☆☆☆
 あなたの知らない怖い話2 (2011) [シリーズ] ☆☆☆☆
 あなたの知らない怖い話3 (2011) [シリーズ] ★★☆☆☆
 あなたの知らない怖い話4 (2012) [シリーズ] ★★★☆☆
 あなたの知らない怖い話 劇場版 (2012) [シリーズ] ★★☆☆☆
 アバター (2011) ★★☆☆☆
 雨の町 (2006) ★★☆☆☆
 ある優しき殺人者の記録 (2014) ★★★☆☆
 闇刻の宴 (2016) ☆☆☆☆


アイズ

(2015年公開 福田陽平監督) ★★★★★
《2017-07-16》   


平凡な女子高生・由佳里の住むマンションの表札に、ある日何者かがマーキングしたと思われる“F”の文字が書かれていた。以来、彼女の周りで不可解な出来事が頻発し…。
(Amazon)

 原作は鈴木光司の同名小説。
 主人公の女の子がわめいたりせず、視聴者の考えている通りに的確に動くので、そういった部分でのストレスがなく話に没頭できるのは良い。演出・ストーリー面も、何かが起きているのだが、何が起きているのかなかなか見えない。底が見えない不気味さがあるので、どんどん引き込まれる。
 ネタがベタなところは多少あるものの、その結末を引き出すための伏線の配置が丁寧で上手い。明言されない謎や部分がいくつかあるが、それに関しても今までの得た情報からある程度組み立てることが可能だろう。
 主人公の女の子が伊藤万理華という乃木坂46のアイドルなので、「またアイドル映画か……」と、かなり油断していたら、ボディーブローを食らったようにダメージを受けてしまった。彼女の演技は、要所要所で印象に残る表情などがよく、特におそらく作品が一番盛り上がるシーンでの彼女の顔で、ファンになってしまいそうになった。
 ホラー映画としてはやや小粒なのが難点なものの、ホラーというジャンルを使い見事に描ききった傑作。そして偏愛的な作品でもある。




青鬼

(2014年公開 小林大介監督) ★★★☆☆
《2017-08-04》   

[グロ][ミステリー][怪物]

逃げろ。逃げまくれ。

クラスに馴染めない転校生のシュンと彼を気に掛けていた杏奈は、ある日、同級生らと共に化け物が現れると噂される不気味な洋館に足を踏み入れるが、彼らに巨大な青い影が忍び寄り…。
(Amazon)

 フリーゲーム原作の映画。青い鬼が本作を象徴する怪異となっていて、封鎖された廃墟を舞台に青鬼から逃げ回るというのが基本のストーリー。ゲームとどういう違いがあるのかはプレイしていないので不明。
 グロ演出はかなり頑張っているのだが、肝心の青鬼があまり怖くない。青鬼はCGで表されており、これは案外リアリティがある(というか上手いこと現実に溶け込めている)のだが、この手のモンスターの宿命として実体験する余地がなくやはり怖さが伝わってこない。
 「原作がゲーム」というのを上手く扱っており、ストーリー面ではなかなか面白いことをやっている。かなりフェアに作られているので、広義のミステリともいえるだろう。それだけにホラー要素が微妙なのがもったいない。最終的なオチも、一応誠実に作ってあるものの釈然としない部分がある。




青鬼 ver2.0

(2015年公開 前川英章監督) ★★★☆☆
《2017-08-04》   

[怪物]

逃げるな。立ち向かえ。

ひろしと杏奈は不登校のクラスメート・シュンの様子を見に、彼の家へと向かった。しかし道中、奇妙な模様をした蝶に誘われ怪物が現れると噂される屋敷へと引きずり込まれ…。
(Amazon)

 監督やキャストが変わった前作の続編ではなく、バージョン2……ということで、本作は同じ登場人物・同じ設定で作られた、まったく別の話。リメイクでもなく、リブートに近い。「ver2.0」というのは言い得て妙。
 原作ゲームが脱出+逃げゲーで、洗面所の栓を抜くとドライバーが出てきたりと、それらしい作りになっている。
 本作は前作と比べると真逆の方向性で青春モノ、ある種の成長譚というふうに仕上がっている。そういう映画としてはベタなものの、前述の「脱出ゲー」的な動きも上手く使われ、完成度は高くなっている。「続編ではなくバージョンアップ版」という話を聞いた時は「焼きまわしかな?」と思ったが、いい意味で裏切ってくれた。
 しかしホラー要素は前作とほぼ同じで、やはり怖さよりも「うーん?」という感が強いのは変わっていない。また、ラストも突然取ってつけたような展開が起きるのは蛇足だった。




悪夢探偵

(2007年公開 塚本晋也監督) ★★☆☆☆
《2015-08-23》   

[狂気][ミステリー][哲学][超能力]

お願い、私の夢に入って、一緒にあの男を倒して。

現場勤めになったばかりの女刑事、慶子は謎めいた事件を担当する。夢を見ながら死んだようだという証言と、死者たちが死ぬ間際に何者かと話したことを示す携帯電話の発信記録から、事件を解く鍵は夢にあると推測。他人の夢の中に入れる能力を持つ悪夢探偵の存在を知った慶子は、彼に協力を求める。
(シネマトゥデイ)

 夢の中に入れるという悪夢探偵が女刑事と共に、眠ったまま自身を切り裂くという怪奇事件を追うホラーミステリー。
 映像はかなりいい。奇妙な存在に襲われるという状況を、カメラワークと音で巧みに演出してる。
 しかしいかんせん女刑事役のhitomiの演技が微妙……というか空回りしている感じがする。松田龍平はキャラと役が合っていたからいいけれど……。
 物語も、事件を描きたいのか、探偵を描きたいのか、哲学を語りたいのか、散らばっていていまいちわかりづらい。夢というものを扱う以上、抽象的な内容になってしまうのは仕方のないことだろうとは思うが、かなり物語が追いづらい。後半になるとなお、つらい。
 ミステリーとしては謎解きなんか、犯人が動機とかすべて語ってしまうので期待してはいけない。というか解くべき謎も特になかった。
 ラストに関しても正直何が起きてるのかまったくわからない。犯人の過去の映像はよかったが……やっぱり抽象的過ぎる。悪くはないんだけど、あまり良いとも思えない。
 ホラー・スプラッター表現も、映像的にも奇妙で綺麗だったのでもったいないような感じがする。




悪夢探偵2

(2008年公開 塚本晋也監督) ★★★☆☆
《2015-08-23》   

[幽霊][じわじわ][感動][超能力]

京一…ごめんね、あなたを産んでしまって。

悪夢探偵の京一(松田龍平)のもとに、悪夢で眠れないという雪絵(三浦由衣)がやってくる。彼女の悪夢に登場する極端に怖がりな同級生の菊川(韓英恵)に、京一は世の中すべてを怖がり、彼の幼少時に自ら命を絶った母(市川実和子)のことを思い出す。菊川を通して母の思いを知りたいと願う京一は、雪絵の夢に入ることを決意する。
(シネマトゥデイ)

 人の夢に入る事ができる悪夢探偵のシリーズ2作目。今回は悪夢探偵の出自にまつわる話。
 やけに抽象的でバラバラだった印象の前作とは違い、テーマが一本通っており比較的追いやすい筋になっている。hitomiも評判が悪かったのか、出てこない。
 ホラー的にはかなりよかった。全体的に嫌ぁな雰囲気をまとわりながら、締めるところはきっちり締める。
 ただカメラワークで手ブレを利用しすぎだったり、気になる部分も結構ある。ラストあたりになるとやはり妙に抽象的だし、それ以上に失速してしまうのが難。オチもわかりやすく感動的な感じで前作よりはおすすめできるが、やはり人を選ぶ作品であることには変わりない。




悪夢の童話~現代版サイコホラー~

(2014年公開? 荒船泰廣監督) ☆☆☆☆☆
《2015-08-02》   

[ゴシック][狂気][美少女][短編集]
誰もが知っている童話の"裏"にある残虐と恐怖。

残虐・殺人鬼・孤独・狂気・復讐…誰もが知っている童話を現代版に置き換えたサイコホラー。赤ずきん、マッチ売りの少女、みにくいアヒルの子、ヘンゼルとグレーテルが今まで観たことのない恐怖映像に生まれ変わる!
(dTV)

 BeeTVによる、童話を現代版に置き換えた一編3分の4つの物語。

 第1話 残虐な殺人鬼「赤ずきん」
 第2話 呪われた館「ヘンゼルとグレーテル」
 第3話 憎しみと復讐「みにくいアヒルの子」
 第4話 炎で甦る死体「マッチ売りの少女」

 静止画MADのような作りのホラー作品。語り口は童話ほぼそのままだが、映像は現代風……という作りになっている。
 画像は綺麗だが、しかしいかんせん怖くもなんともないし、そもそも背景として描かれるストーリーが、ほとんど元になった童話と関係がなく、あまりにも逸脱しすぎている。「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」は一応テーマに沿ってはいるが、どれもオチがやはり面白くない。
 配信は2015/08/29までだそうだけど、dTVに登録してまで見る価値があるかと訊かれると微妙。





アコークロー

(2006年公開 岸本司監督) ★★☆☆☆
《2017-08-01》   

[呪い][グロ][狂気][暴力][怪物]

赤い髪のキジムナーに呪われる

東京に住む美咲は、恋人・浩市のいる沖縄へ心の傷を癒しに訪れる。浩市の友達・仁成らと出会ったのも束の間、ある事件に巻き込まれてしまう。そこには幸せな楽園に暗い影を落とし、愛する者たちの仲を引き裂いていく妖怪キジムナーの存在があった…。
(Amazon)

 アコークローは沖縄の言葉で『夕方と夜の間』という意味。沖縄の妖怪・キジムナーを主軸に、ある青年たちを襲った怪異を描いた異色の沖縄ホラー。
 ほぼ全編が沖縄で撮影されており、テーマとなる妖怪や民間霊媒師・ユタがでてきたりと、そういうご当地ホラーにはなっている。はじめの和気あいあいとした和やかな風景とは裏腹に、構造は四谷怪談的で、主に幽霊からの復讐譚である。
 序盤こそはのんびりとした風景も相まって退屈だが、中盤辺りから起こる事件後は急転直下していく。ホラー演出も頑張っているし、手を変え品を変え退屈しないようにしてはいる。音で驚かせようとしてくるパターンが多いのは気になったが……。
 そして頑張ってはいるのだけど、見終わってみると一部の設定がほぼ活かされないまま放置されていたり、オチもご都合主義的というか、通ってないロジックで感動ものっぽく見せようとしてしまっている。またキジムナーに関しても、実際のところ深くは関係ないというかおざなりになってしまっているのもマイナス(キャッチコピーも、キジムナーだから赤い髪なのではなく、赤い髪の人がたまたま怪異になる)。





讐 ~ADA~ 第一部 戦慄篇/第二部 絶望篇

(2013年公開 白石晃士監督) ★★☆☆☆
《2017-07-17》   


とある進学塾を舞台に、復讐をテーマにしたオリジナル作品。戦慄篇はフェイクドキュメンタリータッチ、絶望篇はドラマタッチと制作手法を分けて描いた。戦慄篇では、成績優秀でクラスメイトから塾の模範生徒だと言われるヒロイン・渡辺夕子(佐藤綾乃)に、あまりに突然な暴力がふりかかる。クラスメイトの美保が惨殺を繰り返したのだ。夕子は母親まで手にかけられ、精神的に追いつめられていく。夕子は、無慈悲な殺人者への復讐を誓う。絶望篇では、逆に、夕子に暴力をふるい、次々にクラスメイトを惨殺した市川美保(仙石みなみ)の視点となる。初めて親友と呼べる友達の遥(相楽樹)が死に、その死の裏に見えるものを知る。 美保の復讐とはなにか…。その先にあるものは…。
(Amazon)

 ある進学塾で起こった虐殺事件を描く、『復讐』のガールズムービー。本作は一部と二部に分かれているが、この二作は表裏一体で、分けて評価するのは難しいのでレビューは二作合わせて行う。

 第一部はその事件の概要を、いつも通りモキュメンタリーの形式で作られている。この章の主人公は、犯人にターゲットにされた中で唯一生き残った少女。
 第二部はその事件の裏側、すなわち犯人の視点から描いている。こちらは普通のドラマのような撮り方。撮影者が存在できない話なので、それは仕方がない。第一部で語られなかった犯人の動機と葛藤が明かされる。

 演出自体などはさほど問題はないのだが、本作は一部と二部で同じシーンや、そのアングル違いが非常に多いのがつらい。あまりに重複するシーンが多すぎて、一部は見ずとも二部だけでも良い気がしないでもない。2つに分ける意味はあるが、この重複具合ならまとめた方が良かった。
 つまらなくはないが、二部の最後の綺麗さ以外はあまり語るところのないなんとも言えない作品。





(2004年公開 オムニバス) ★★☆☆☆
《2018-06-28》   

[コメディ][狂気][短編集][超能力]

ホール・フィルム・カーニバル=穴映画の謝肉祭

4人の監督が「穴」をテーマに4つのストーリーを作りあげたホラー・オムニバス。「夢穴」「胸に開いた底なしの穴」「青春の穴」「怪奇穴人間」を収録。
(Amazon)

 「穴」をテーマにしたオムニバスホラー。
 ■胸に開いた底なしの穴
 ■青春の穴
 ■夢穴
 ■怪奇穴人間
 の四作。ホラーというよりは、『世にも奇妙な物語』のような奇妙な味といった作品群。サイコホラー・コメディ・SF風味といろいろな方向性ではあるものの、正直なところホラーとしては微妙な作品が多くなんともいえない。
 個人的にはヤクザが死体を埋めようとするワンシチュエーションブラックコメディ『青春の穴』と、江戸川乱歩……明智小五郎的な世界観を作り出した『怪奇穴人間』が好きではあるものの、あくまでコメディ部分がである。ほかは特にコメントがない(『胸に開いた底なしの穴』の監督、『発狂する唇』のひとか)。




Another

(2012年公開 古澤健監督) ★☆☆☆☆
《2015-07-21》   


1998年、春。父の不在や自身の病気療養のため、母の実家に身を寄せ夜見山北中学校に転入してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。彼は、クラスメイトで不思議な存在感を放つ少女・見崎鳴に惹かれる。だがクラスメイトの反応から、彼女は恒一には見えて、他のクラスメイトには見えていないのでは無いかと感じる。そんなある日、あるクラスメイトが凄惨な死を遂げ、3年3組が直面している現実を知らされるのであった。
(wikipedia)

 『十角館の殺人』でデビューした綾辻行人原作のミステリの実写化。私は原作・アニメともに消化済み。原作は前半、アニメの後半が好きな私としては、実写はどうなのかしらと恐ろしさ半分で見てみました。
 というかこのネタ、実写は不可能だろと思うのだが。アニメはそこのところかなり巧妙に処理してたのだけれど、さてさて……。

 結論からいうと、ダメ実写化。まず発作の演出をはじめとして全体的に安っぽい。容赦なく降りかかる死の嵐はたしかにAnotherっぽいけど、やっぱりなんかB級っぽさがあらわれてしまってる……。桜木さんや水野さんの陰惨なシーンもなんだか安っぽい。あと8月のくせに息が白いというのも、演出の甘さが出てる。
 そしてなにより、序盤でミステリとしてのネタが速攻で明かされ爆死感が更に高まる。
 何もかもが唐突すぎて、原作知らないと置いてけぼりもいいとこ。しかし原作知ってると面白くもなんともない。持病持ちなのになぜか走る主人公。ほとんど出てこない赤沢さん(原作でもほとんど出番はなかったが)。やはりなぜか意味もなく走り回りつらくなる主人公。学習しろ。あ、鳴ちゃんの私服はダサ可愛かった。しかし仲間が増えた瞬間にあまりに俗っぽい存在に成り下がる。

以下、映画の性質上、原作・アニメ両方のネタバレもありますので注意してください。


+クリックでネタバレ感想



アナザヘヴン

(2000年公開 飯田譲治監督) ★★★☆☆
《2017-08-02》   

[グロ][狂気][怪物]

ラスト30分の悪意の哲学

殺害した被害者の脳を料理し、食べるという猟奇殺人が起こる。ベテラン刑事・飛鷹健一郎とその部下・早瀬学は犯人を追うが、それをあざ笑うかのように次々と犯行は繰り返されていく。ある被害者が書いた犯人の似顔絵を元についに犯人を逮捕するが、犯人の頭には脳が入っていなかったのだった。事件は解決したと思った矢先、また同じ手口の殺人事件が発生し、早瀬は「犯人は人間ではないのではないか」という疑問を抱き始める。
(Wikipedia)

 原作は飯田譲治/梓河人による小説。つまり原作者自ら、監督脚本をしている。結構分厚い上下巻を、二時間ちょっとの枠に収めているので、やや駆け足だったりする。小説は好きだったなぁ。2なんかなかった
 映倫審査でR15+指定をされているだけあり、脳を取り出された人間の断面図などがそれなりの大写しで出てくる。このグロ描写は良く出来ている。
 「殺害された人間の脳を取り出し、シチューにしていた」というなかなかショッキングなシーンから始まる本作は、一見サイコホラーっぽいのだけど、実際のところは『パラサイト』的なSFホラーであり、現実的な解決や霊的な恐怖を求めているひとにはあまり向かないだろう。一応序盤に「SF的展開がある話だ」という伏線はあるし、意外と早めに「そういう話なのか」というのがわかるようにはなっている。ただ二冊の原作を二時間にまとめてしまった弊害で、(原作者が指揮をとっているだけありほぼ原作通りではあるが)本作単体で見た場合ではいまいち理解できない部分があるのではないかと危惧してしまう。あと単純に、二時間超は長い。
 
 余談だが「アナザヘヴン」はメディアミックス展開されており、本作の話の別のラインで起きる事件のドラマ版『アナザヘヴン eclipse』(未見)やワンダースワン(!)で出たゲーム『アナザヘヴン~memory of those days~』などもある。





アバター

(2011年公開 田中誠監督) ★★☆☆☆
《2017-07-23》   

[狂気][美少女][学園]

このアバターで、私はすべてを手に入れる

17歳の誕生日に母からケータイをプレゼントされた道子は、レアアバターを持っている“学園の女王”妙子から、SNSサイト“アバQ”に強制的に入会させられ…。
(Amazon)

 山田悠介原作の小説の映画化。女子校でのヒエラルキー的なあれとなんか、かなり高い純度で橋本愛で保ってる作品。
 モバゲーソシャゲのポイント欲しさに手当り次第に招待しまくってどんどん暴走していくという。モバ……うっ、頭が……。
 この学校、着せ替えソシャゲのレア度で学校のヒエラルキーが決まるという、ホビー系少年漫画のノリ。狂ってやがる……。
 細かいところはツッコミどころが満載すぎてとても追いつかないが、それを放棄して開き直って見れば、ぶっ壊れている橋本愛のカルト映画的にはこれはこれで楽しめはする。途中で橋本愛にある転機が訪れて美しくなるが、前とさほど変わらないだろとはいってはいけない。考えるな、感じるんだ。





雨の町

(2006年公開 田中誠監督) ★★☆☆☆
《2017-06-29》   

[幽霊][美少女][怪物]

35年前に消えた子どもたちが雨の降る日に帰ってくる……

ある地方都市で内臓のない子供の死体が見つかる。ルポライターの荘太は、取材中に死んだはずの子供の死体が起き上がり姿を消すのを目撃。情報収集のため役場に行き、35年前に近隣の丙村で小学生の集団失踪事件が起きたことを知る。今回の事件との関連を調べる彼を役場で働く香坂が助けてくれる。
(シネマトゥデイ)

 本作は菊池秀行の同名短編を映画化したもの。

 「村」「内臓の無い子どもの死体」「大昔に消えた子どもが帰ってくる」といった、和ホラー好きの琴線にピンと引っかかるようなキーワードが並ぶが、この作品、終始静かで地味である。
 決して無名な俳優を使っているわけではない(当時としては駆け出しだった可能性はあるが)し、真木よう子や成海璃子も出ているのだが……。
「うーん、良くも悪くも起伏がなく、感想の無い作品かなぁ」と思って見ていたが、唯一ラストだけはかなり好き。
 なので基本見なくてもいいが、やや切ない雰囲気のホラーが好きならば選択肢の後ろの方にでも。





ある優しき殺人者の記録

(2014年公開 白石晃士監督) ★★★☆☆
《2017-08-01》   

[狂気][暴力][POV][モキュメンタリー]

この結末は、誰にも予測できない。

韓国の障害者施設から脱走した連続殺人事件の指名手配犯、パク・サンジュン。女性ジャーナリスト、キム・ソヨンは彼から電話で呼び出され、インタビュー収録に臨む。
(Amazon)

 韓国の女性記者の元に、18人の人間を殺害した容疑で指名手配されている幼馴染みの男から電話がかかってくる。その男の要求は『取材してほしい。その間はノーカットでカメラで撮影して欲しい』という奇妙なもの……というフェイクドキュメンタリー作品。その設定の通り本編は、ノーカットの長回しで撮りされている(ように見える。本当は分割されているらしく、その境目は一見ではほとんどわからなくなっている)。
 ほぼ一部屋での出来事で物語が完結しているソリッドシチュエーションもの。日韓合同制作、そして舞台が韓国なのでストーリーはほぼ韓国語で進むが、日本人が出てくるということも物語にちゃんと関わってくる。
 「過去に死んだもう一人の幼なじみを生き返らせるために、神の指示のままに人を殺していった」という男のロジックはまさしく狂人の妄想や幻聴なのだが、物語は徐々に奇妙な方向へ進んでいく。このあたりの平衡感覚が狂ったような展開は白石晃士の得意なところだろう。それが遺憾なく発揮されている。
 終盤の展開に関しても、監督のファンならば深く頷くような形になっているが、そこからもう一捻りが加えられているのもよい。しかし一方で氏の作風を知らない人が見た場合は、首を傾げてしまうだろう。そういった意味では、作風を知らない人にはあまりおすすめできない。





闇刻の宴

(2016年公開 亀井亨、坂元啓二、三宮英子、国沢実、菊嶌稔章) ★☆☆☆☆
《2018-04-27》   

[幽霊][狂気][短編集]

暗闇から切り取られたおぞましき恐怖の断片

坂元啓二ら5人の気鋭映像作家によるホラー短編集。シーズンオフの旅館にやって来た仲居は、ひとりで誰かと話す管理人の声を聞く。部屋には見覚えのある少女が描かれた絵があり…。「うつしえ」「子の棲む家」「36℃の視線」ほか、全6話を収録。
(Amazon)

 新進気鋭の映像作家によるホラーオムニバス。5編と各短編の間に挟まれる(+α)形で1編の計6つ。

うつしえ
 寂れた旅館でひとりごとを呟く管理人と、それを目撃した仲居の話。
 本作の中では比較的マシで、不安を煽ってくる。管理人の不気味さはよかった。……のだけどイマイチよくわからず終わるので消化不良感が強い。
 スタッフロールの趣味の悪さは好き。

子の棲む家
 引っ越してきた家にいろいろなものが遺されている、という話。この遺されたものが出てきたり消えたりするのだが、これが原因で家族が壊れていく……という話。
 なのだけど、「おっ」と思うのが本当に最初だけで、オリジナリティなどが全く無い(ある都市伝説と全く同じだし)。

36℃の視線
 ノーコメント。最初だけちょっと気味が悪かった。

幽閉 confinement
 柵のついた浴場みたいな場所に監禁された少女の話。……を、まさかの人形劇でやる。つまりその監禁場所には人形と、それを操る黒い服の女性がいることになる。
 本作で一番の奇作。セリフなどもなく、人形の動作のみで少女が壊れていく様を表していく。これは本当に狂気的で、人形遣いのすごさがある。
 かなり露悪的だし相変わらず説明不足ではあるが、本作の奇異性はかなり好き。本作だけなら★★★くらいつけていた。

 ノーコメント2。

ひなげし
 母の介護をする女性は疲れから狂気に陥る……という話。
 この話もこのなかではマシな方。


 短編であることを差し引いても全体的に説明不足。「おっ」と思った作品が幾つかあったが、それ以外は本当にひどい出来だったり、意味がわからなかったりする。
 亀井亨監督作品の「幽閉 confinement」に関しては個人的にかなり評価しているが、前衛的な内容なので好き好みは分かれてしまうだろうし、これだけ見るためにこの短編集みるのもなぁという感じ。
 







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