baseline和ホラー映画日和 は

 パズル(2014) ★★★★
 発狂する唇(2000) ★★☆☆☆
 ×ゲーム(2010) ★★☆☆☆
 ×ゲーム2(2011) ☆☆☆☆
 8・1(2010) ★★☆☆☆
 パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT(2010) ★★☆☆☆
 パラノーマル・フェノミナン(2010) ★★☆☆☆
 パラノーマル・フェノミナン2(2010) ☆☆☆☆☆
 パラノーマル・フェノミナン3(2010) ☆☆☆☆


パズル

(2014年公開 内藤瑛亮監督) ★★★★
《2017-07-20》   

[デスゲーム][鬱][グロ][狂気][暴力]

ねぇ、世界を壊してやろうよ

心に深い闇を抱えた少女とそれに激しく共鳴する少年の狂気を描く。とある高校で女生徒の中村が屋上から飛び降りる。1ヵ月後、同じ高校で占拠事件が発生して…。
(Amazon)

 かなり大昔、カドカワのハルヒのブックカバーをもらうために数合わせ的に買って原作を読んだ記憶があるがまったくいい印象のない山田悠介の小説『パズル』の実写化。……なのだけど、本作はこの小説とはまったくといっていいほど違う作品に仕上がっている。監督は『先生を流産させる会』の内藤瑛亮。
 
 少女が飛び降りるところを主人公の少年が目撃するシーンから始まる本作は、かなり陰湿でえげつのない復讐譚である。しかし同時に、絶望的に終わっている変わり種なボーイ・ミーツ・ガールものともいえるだろう。このどうしようもないやるせなさを、作中のやや濁ったような画面の演出が増幅させている。
 原作は「超秀才たち(笑)が力を合わせて校舎中に散らばったジグソーのピースを集めないと先生が死んでしまう」という話でほんとこれは【中略】だったんだけど、その原作ではあまり意味がなかった『パズルを集めさせる』という行為を、シナリオ上の必要なピースへ昇華させた(2つ目のゲーム)のはひとえに脚本家の力であると思う。
 ただ、本作はかなりの部分で不明瞭な点があるのがマイナス。そういう物語もありっちゃありなのだが、かなりおざなりに処理されている事柄が多い。この辺りが気になる人は多いだろう。あと悪趣味さ加減が相当振り切れているのも、好みが分かれそうである。




発狂する唇

(2000年公開 佐々木浩久監督) ★★☆☆☆
《2017-07-16》   

[コメディ][エロ][グロ][狂気][暴力][アクション]

発狂ホラーエンターテイメント!

女子中学生の首が切り落とされるという連続殺人事件が発生。しかし、容疑者とされた倉橋美智夫は行方をくらましていた。美智夫の無実を願う妹、里美は兄の捜索と真犯人探しを、霊能者、間宮悦子に依頼する。倉橋家を訪れた悦子は降霊実験を行い、殺された少女たちの霊を呼び寄せ、悦子が命令すると、少女たちの首なし死体は自分の首をもとめてさまよい始める。美智夫は犯人ではないと断言する悦子だったが、悦子が倉橋家に来てからは、里美のまわりの世界は呪われたように狂っていくのだった!
(Amazon)

 行方不明になった美少女連続殺人事件の容疑者家族を襲う、不特定な民衆の悪意。マスコミも刑事も、狂ったように残された家族を追い詰める。おどろおどろしいOPやあらすじから、そういうホラーかと思って見始めたら……。
 ……それは最初だけ。見るからに怪しい霊能力者が、霊能力で電話線から逆探知しようとしたシーンあたりから違和感を持ち始め、FBIが出てきたあたりから疑惑が確信に変わった。本作はホラーではなく、コメディ色とエログロナンセンスなモンド映画なのである。3Pにレイプは当たり前、殺人や死姦でさえもバンバンと出てきて、登場人物の倫理観がだんだんと崩れていく。
 特にラストあたりはもうしっちゃかめっちゃかで、なぜかガチのカンフー映画のノリと演出になる。それもそのはずでこのシーン、監修で台湾のアクション監督を招いて作られているのである。このシーンは本当にかっこいい(が話は支離滅裂)。
 ホラー映画として見ると噴飯ものだが、こういうものだと割り切って見ると『見世物小屋』的な後ろ暗いエンタメ性はそこそこあるため楽しめるかもしれない。




×ゲーム

(2010年公開 福田陽平監督) ★★☆☆☆
《2015-08-09》   

[デスゲーム][グロ][狂気][美少女][暴力]

これを見るのも"罰ゲーム"

小学校時代に行われていたいじめ、“×ゲーム”。それは、赤いブリキ箱にいじめの内容を書いたクジを入れ、クジを引いては書かれたことを実行するというものだった。12年後、“×ゲーム”が行われていた小学校の教師が突如自殺。他殺ではないかと考えた当時の生徒、英明(荒木宏文)は、12年前のいじめられっ子を疑い始める。
(シネマトゥデイ)

 山田悠介の小説原作の映画化。
 三十分過ぎる頃からようやく物語が進展する。それまでかなり退屈である。密室に閉じ込められても、それから数十分ダラダラとするのもマイナス。
 本題が始まっても、最初は悪趣味かつもの珍しいものの、途中からは同じことの繰り返しで正直飽きが来る。3/4ほど過ぎた頃からようやく話の展開が変わるが、若干ギャグにしか見えない。

 また本作のオチには意外性を期待してはいけない。冷静にならずとも黒幕はすぐにわかってしまう。更に言ってしまえば、予想よりもっと乱暴だった。もし本作を見るのだとしたら、ミステリー要素のない、あまり頭の良くないソリッドシチュエーションものとして見るのが吉。
 わりと丁寧な伏線の都合上やむを得ない部分はあるにしても、もう少しキレのいい映画にすることはできなかったのだろうかと思ってしまう。オチ自体も好みの部類ではある。
 主人公の彼女役である菊地あやかは可愛かった。




×ゲーム2

(2011年公開 山田雅史監督) ★☆☆☆☆
《2015-08-10》   

[デスゲーム][美少女]

史上最狂の罰ゲーム

自宅に戻ってきた女子学生の美鈴(多田愛佳)は、突然何者かにさらわれてしまう。意識が戻ると学校らしき建物にいて、美鈴やネイリストの裕子(平嶋夏海)ら5人の男女が幽閉され、問題に答えられないと恐怖のバツゲームが行われることに。そのころいじめの復讐(ふくしゅう)を代わりに引き受ける組織を取材していたジャーナリストの尾藤(ユキリョウイチ)は、組織の情報を入手し……。
(シネマトゥデイ)

 前作で大ネタがバラされた上での続編。とはいえ、前作を見なくても本作を見る分にはさほど問題ない(やや前作のネタバレがある)。

 前回では幼い頃のいじめが×ゲームのルールとなっていたが、今回は「補習」という形で、学校で習うような問題を解くものになっている。
 テンポの悪かった前回とは違い、今作は×ゲームとジャーナリスト視点の二つを平行して描かれており、時間が長いわりには見やすくなっている。そして本作は集められた人間に一見共通点のない、ある種のミッシングリンクものだと言える。

 しかし一方で演出の甘さが気になる。おばさんが軽々持っていた鉄球を男が必死になって持ち上げる、顔に×ゲームの焼きごてを押されているにも関わらずいまいち悲壮感がない、なぜか他の罰ゲームのアイテムを見つけないなど、かなり気になる部分が多い。
 また、本作はオチが相当弱い。本作を見るのはほとんどが前作を見ている人間だろうけど、前作を見てる人間ならばだいたいオチに見当がついてしまう。そうでなくても、インパクトには欠けている。
 ミッシングリンクものとしても、各人物の共通点は中盤で明かされるので意外性はほとんどない。犯人に関しても「まあ、そうだろうなぁ」というところ。
 前作で特化していた暴力・グロ描写も控えめになっており、見る点がほとんどなくなってしまっている。全体的に薄味で地味である。




8・1

(2005年公開 高橋洋平監督) ★★☆☆☆
《2017-07-19》   


心霊スポット巡りが好きな中学生の2人。元気に過ごしているようだが、そのひとりは人が死ぬ悪夢に悩まされる。そして夢に必ず出るのは不気味なトンネルだった。
(Netflix)

 山田悠介の小説が元になっているが、まったく内容は違うらしく原案としてクレジットされている。
 あるトンネルを通った人が死ぬ夢を見る少女の話。その死は実際に起こっていて……。というストーリー。
 一時間しないほどの短い作品なので、物語のテンポがかなりよく、あと一部シーンを早回しに演出することでカバーしたりしている。その演出も不気味さを増すのに貢献している(使いすぎて食傷気味になる面もあるが、後半になると減るので苦肉の策だったのだろう)。これに関しては、本作が元々ネット配信されていたものらしく、そういうわけで一時間以内という縛りがあったのだろうと思う。
 あるトンネルで連続で起きる怪死はある共通点があり、主人公の少女がそのトンネルに向かうあたりまではそこそこに面白く、徐々に狂っていく(あるいは狂っていた)様はかなり好みではある。……のだが、オチがかなり雑というか、いまいちピンとこない話に着地して幕を閉じる。釈然としないまま終わるので消化不良を起こし、あまりいい評価は出来なかった。

 ちょうど「雨と夢のあとに」の頃の黒川智花が主演なので、テレ朝の金曜ナイトドラマ枠が好きな自分にとってはなんだか懐かしくはなった。




パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT

(2010年公開 長江俊和監督) ★★☆☆☆
《2015-08-13》   

[モキュメンタリー][POV][超常現象]

第2章は寝室2部屋、恐怖2倍。

アメリカ・サンディエゴのあるホームビデオの出来事から4年後の2010年、東京で車椅子の生活を余儀なくされていた山野家の姉・春花は、ある朝車椅子が不自然に移動していることに気づく。はじめは弟・幸一のいたずらと決め付けていたが、幸一の説得で一晩中カメラを回して撮ったその映像には衝撃の映像が映されていた。
(Wikipedia)

 アメリカで低予算で作られた「パラノーマル・アクティビティ」の日本版。監督は「放送禁止」の長江俊和。
 残念なことにオリジナルの方は見ていない。一応、オリジナルの方は見てなくてもなんとかなるっぽい(前作との関わりみたいなものが語られるくらいか)。
 姉の部屋が鏡張りでラブホみたいだとか、姉の部屋を盗撮する弟とか、見ていていろいろツッコミどころがある。
 基本的に音とかでびっくりさせるタイプのホラー。いかにもアメリカ的である。何かこう、派手なシーンを期待して見てるとやや肩透かしを食らわせられる。

 中盤から、同じような映像ばかりでかなりダレる。さほどつまらないわけではないのだが、恐怖の表現方法があまりにもテンプレすぎて、終始予測を上回らない。物語が解決するようなカタルシスも特にない。
 モキュメンタリーとしてのリアリティがないって点は、まあ、このシリーズ自体が既にフェイク系だってのが知れ渡っていたからさほどマイナスでもない。
 本作には「放送禁止」シリーズのような、小ネタがあるらしい(父親が帰宅するシーン?)のだが、何回か早回ししながら見てもわからず。青年と共にちょくちょくオカルトの本が出てくるのが伏線かと思ったが、別に関係無かった。




パラノーマル・フェノミナン

(2010年公開 白石晃士監督) ★★☆☆☆
《2015-08-18》   


現象1:新宿区に住む男性から送られて来た映像。あるホテルで撮影されたらしいそれには心霊現象がしっかりと記録されていた!
現象2:千葉県に住む女性からの投稿映像。とあるサイトで知り合った3人がパワースポットに出かけた時、不可思議な現象が起きた!
(GyaO)

 白石晃士の元に寄せられた怪奇映像を紹介するという形式のPOVのモキュメンタリー作品。「パラノーマル・アクティビティ」を彷彿とさせるが、コンセプトはやや異なる。

 一つ目はラブホテルにて撮られたという映像。投稿作品という形式上、顔にモザイクがかかってしまっている。おっぱいにもモザイクがかけられててなんとも言えない。全体的に安っぽい演出ではあるものの、本家よりもド直球的な意味で怖かったかもしれない。大衆的というか。ただしノーカットのため、テンポがやや悪い。

 二つ目はパワースポットでの映像。こっちはモザイクがかかっていない。カット済みといいつつ、結構余計なシーンが多い。こっちに関しては何がなんだかであまり面白くない。

 どちらも怪異が起こるまでかなりグダグダとしている。一つ目は女優さんの演技もあってまだ楽しんで見れていたが、二つ目はかなりつらかった。積極的にはオススメできない。




パラノーマル・フェノミナン2

(2010年公開 村上賢司監督?) ☆☆☆☆☆
《2018-06-27》   

[投稿動画][POV][モキュメンタリー][超常現象][狂気]

この映像を作ることはできない。

「怪談新耳袋」シリーズの村上賢司が秘蔵する、すすり泣く女性の霊が出没するという千葉県の廃墟を捉えた「幽霊…?」編、登山家が遺した「宇宙人…?」編を収録。
(Amazon)

 パラノーマルアクティビティの後乗り的なモキュメンタリーシリーズの二作目。監督が?なのは情報が出てこなかったから。収録されているのは、グラビアアイドルが過去に殺人事件のあったラブホテル廃墟に赴き撮影する『心霊』と、ちょっと上手く説明できない『アブダクション』。
 『心霊』に関してはモキュメンタリーの王道的な作品で、まあそうなるよなぁという感じで良くも悪くも語る部分が少ない。だがホラー以上に、ディレクター(だったか? とまれスタッフ)がカスなことにイライラする部分が大きい。
 『アブダクション』については……説明すると、「ある登山好きのアマチュア監督が妻と一緒に山登りをしたときの映像を、自ら映画にした」というクソみたいなホームビデオを見せられ、その後に続けて「妊娠中の妻と一緒に登山したときの映像を映画にした」というクソみたいなホームビデオをまた見せられる。このホームビデオがほんとにつまらなく、そしてホラー(というか『アブダクション』というタイトルからわかるようにUFO的な話)な要素も語るものがなにもない。というか、一番怖いのはこの素人監督で、妻に怪我を追わせそうになっても平然としていたり、出産日を超えている妻を連れて登山に行き、更には妻を見失うという、圧倒的なサイコパスな点。この頭のおかしさは何かストーリーに関わるかと微かな期待があったが、特になにもなく、「平凡な素人監督を襲った恐怖」みたいになっているので解せない。




パラノーマル・フェノミナン3

(2010年公開 古澤健監督?) ★☆☆☆☆
《2018-06-27》   

[投稿動画][POV][モキュメンタリー][超常現象][狂気]

この映像を作ることはできない。

『オトシモノ』の古澤健をナビゲーターに恐怖の超常現象を紹介する。湖を訪れたカップルが怪異に遭遇する「溜め池」編、恐怖が姉妹を襲う「悪魔祓い」編を収録。
(Amazon)

 パラノーマルアクティビティの後乗り的なモキュメンタリーシリーズの三作目。監督が?なのは情報が出てこなかったから。二作目がほんとにアレだったが、まあ3まであるのでということで。
 今回も二話構成で、釣りに訪れたカップルが謎の封印を悪ふざけで解いてしまい……という話と、神社で悪霊祓いをする話。
 どちらも前作よりは遥かにマシな出来ではあるものの、取り立てて語る部分(文句をいう要素も)がないという、なんとも困る。強いて言うなら、釣りの話の封印が髪の毛を束ねたようなもので、白石作品に登場するいつもの呪物にめっちゃ似てるということだが、この作品の監督が誰だかよくわからないのでなんとも。特に過去作と代わり映えしないので正直きつい。






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