(TSUTAYA)
無駄にインパクトのあるジャケット写真とタイトル。B級臭がプンプンするが、まさにそのようなバカモンスターホラームービーである。
出てくるブタカリ様のインパクトは他のホラーモンスターの追随を許さない。その恐るべき姿は出来れば事前知識なしで、メタルをバックに襲いかかってくるブタカリ様を見てほしい。
しかし、いかんせん作りがチープ。暴力シーンがどう見ても実際には当たっていない。また全体的にカットカットが細かすぎて気になる。
その分、物語はわりとテンポよく進む。特に森の不気味さは異常に高い。子供のシーンでも思ったが、いい意味で非常に違和感のあるカットを作り出せている。そういう点で見ればホラーとしてはなかなか上手い。
物語は大きく二部に分かれており、前半が息子を殺された父のブタカリ様による復讐パート、後半がその復讐で殺された恋人の復讐パートとなっている。
(おそらく)低予算ながら、ネタとしてのエンタメ性は高い。ストーリーを深く気にせず、友人と酒でも飲みながら見ると吉である。
なお一部、虫の描写があるので注意が必要である。
+クリックでネタバレ感想
ブタカリ様、まさかの全裸のオジサンである。
予算がないけどモンスターホラー作りたい→じゃあ全裸のオジサンでいいや!という潔さはよい……かと思って見ていれば、ブタカリは復讐の情念かその代償、あるいは人物によって姿が違うらしい。思ったよりお金は使われているようだ。
復讐の連鎖はどこまでも続いていくという話はベタベタではある。
レナや後半戦の主人公の妹や、わりと好みのタイプの女優さん使ってるなぁ。レナ、桜のどかさんというアイドルらしい。
あと特典映像でタバコ吸ってるブタカリ様がとても可愛い。
フリーキッチン
(2014年公開 中村研太郎監督) ★★★★☆
《2017-07-24》
内気な高校生・ミツオと母親のキョウコが暮らす家では、幼い頃に母が殺した父とその愛人を食して以来、人肉料理が並ぶようになっていた。ミツオは、この異常な環境から抜け出したいと思いながらも母を拒めずにいた。そんな中、ある日出会ったペットショップの店員・カナに惹かれはじめるミツオだったが…。
(Amazon)
捕えた人の肉を料理して出す母親と、人肉を食べるうちに「どんな年齢・性別・体格か」などがわかるようになった少年。そんな彼は、ペットショップで働く少女に恋をして……。という福満しげゆきの漫画「味娘」を映像化したもの。
本作は非常に静かで、とても「人食」をテーマにしたとは思えない感覚に見ていて陥る不思議な作品。いかにも『ガロ』的な雰囲気。一応グロテスクな描写もあるが、それ以上に肉料理のカットが非常に多く、お腹が空いてくる。
人の肉を料理し続ける延増静美の虚ろな目が本当に怖いが、ホラーとしてはそのくらいの部分くらいか。それよりもブラックユーモアの度合いが高い。その静かさ故にもりあがる部分があまりないというのが、唯一とも言える欠点だろうか。
震える舌
(1980年公開 野村芳太郎監督) ★★★★☆
《2017-08-11》
ある日少女が絶叫を上げて倒れ、病院に搬送された。瀕死の娘を救うために、両親は不眠不休で看病を続けるが…。
(Amazon)
あらすじを見た感じでは本作は医療ドラマであり、ホラー映画ではないが、どう見てもホラー映画ですありがとうございました(というかホラー的な演出がなされているので、どういう趣向ではあると思う)。しかもオカルトなどの非科学的な部分がまったくない分、リアリティがありむしろ下手なホラー映画よりも恐ろしい。
破傷風に冒された幼児と、その両親の苦悩を描いている。この描写が本当に秀逸で、最初は破傷風を軽く見て適当にあしらっている夫婦が、泣き叫ぶ娘の症状が悪化すると共にその事の重大さに気づき荒んでいき、身も心もズタズタになって狂っていく。多少大げさだとしても十分、実際にありえることでもあるので、そこが怖い。
今の日本でこそ医療の進歩から、もう少しなんとかなるだろうとは思うが、やはりこの映画が怖いのは変わらず、幼いころに見たらトラウマ必至だっただろうという傑作。