baseline和ホラー映画日和 こ

 高速ばぁば (2012) ★★☆☆☆
 ゴーストシステム (2002) ★★★☆☆
 コープスパーティー アンリミテッド版 (2015) ★★☆☆☆
 コープスパーティー アンリミテッド版 Book of Shadows (2016) ★★☆☆☆
 こっくりさん 劇場版 (2011) ★★☆☆☆
 骨壺(2012) ☆☆☆☆
 コワイ女(2006) ★★★★
 怖い警察(2013) ☆☆☆☆☆
 こわい童謡 表の章(2007) ★★★☆☆
 こわい童謡 裏の章(2007) ★★★☆☆


高速ばぁば

(2012年公開 内藤瑛亮監督) ★★☆☆☆
《2017-07-23》   

[狂気][美少女][廃墟][怪物]

恐怖は寄生する…

TV番組のレポーターとして廃墟の老人ホームを訪れた3人組アイドルグループ・ジャージガール。彼女たちがそこで目にしたのは、凄まじい速さで移動する不気味な老婆の姿だった。
(Amazon)

 マイナーアイドルユニット三人組が番組の企画で廃墟に行ってから、すさまじいスピードで高速移動する老婆に襲われる。一応、コンセプトそしては都市伝説の「ターボばあちゃん」なのだけど、設定としては「高速移動する老婆」しか原型を留めておらず、もはや別の存在になっている。
 本作はなんといっても、あまりに説明がなさすぎるという点に尽きる。キーとなる設定が映画では明言されず、見終わったあとにWikipediaを見て知ったほど。公開直前に発売された小説版が存在するらしいのだが、それを表面だけを映像化したような感じになっている。
 なので基本的にこれだけ見ても微妙なのだが、しかし一方でなんだか奇妙な味のある一本にもなっている。アイドルグループの新曲の「女子力わっしょい」の異常な脱力感だったり、少女たちのリアリティとも違った人格的な描写だったり、見れない部分がまったくないわけではない。でも高速移動する婆さんは既にギャグの域まで来ている。
 なんなんだこの映画は。




ゴーストシステム

(2002年公開 長江俊和監督) ★★★☆☆
《2015-07-31》   


行方不明になった恋人の消息をたどり、森に迷い込んだ日暮亘と三枝美沙紀。彼らは巨大な廃墟の中で、死者を呼び戻すことができる“ゴーストシステム”を発見し…。
(TSUTAYA)

「放送禁止」でお馴染みの長江俊和監督・脚本。
 死後の世界と科学を結びつけた、珍しいタイプのホラー映画。
 元々はショートムービーだったのを、拡張して長編化したとのこと。桜木睦子と若き日の玉木宏が出ている。
 謎の廃墟の一室に閉じこもっていた美少女の元に、数字を羅列した謎のメールが届く。彼女はいう。「生と死の理は崩壊しました」「私以外に、生きている人はいますか?」

 本作はホラーとしては怖くない。幽霊が出てくるシーンも、なぜかズームやぼかしで撮影されており、もはやシュールさが際立つ。
 失踪した友人を探しに山に入るのにスカートで来るなど、リアリティの無さ(というか演出の甘さ)が少し気になる。とはいえ、本作はある種のアイドル映画なわけで、その点に不満はさほどない。

 「死者の魂を現実に蘇らせる機械的システム」という、意外といままでなかったテーマを扱っているのは面白い。ストーリーは伏線こそないが短さのわりには意外性もある。主要人物がたった四人というのも簡潔で◯。
 いわゆるホラーホラーを期待して見ると肩透かしを食らうし、決して素晴らしい出来というわけではないが、一風変わったホラーテイストのアイドル映画、桜木睦子の可愛さを見たい方には、尺も短いのでオススメできるかもしれない。




コープスパーティー アンリミテッド版

(2015年公開 山田雅史監督) ★★☆☆☆
《2017-08-11》   

[呪い][幽霊][鬱][グロ][美少女][狂気][学園]

クリア不可能……血塗られた惨劇が始まる

高校生の直美は、幼馴染みの哲志たちと文化祭の後片付けをしていた。すると、会談好きの委員長・あゆみがあるおまじないを提案し…。
(Amazon)

 原作はブームを巻き起こした同人ホラーゲーム「コープスパーティー」(のリメイクである「ブラッドカバー」……のコンシューマ移植である「リピーティッドフィアー」……をベースにしたOVA版だと思う。ややこしい)。
 ちなみに「アンリミテッド版」は、放映時にカットされたグロシーンなどを含めた完全版的扱い。
 
 高校の文化祭の片付けをしているときに、「幸せのサチコさん」というおまじないをしたら地震が起き、既に存在しないはずの天神小学校に飛ばされてしまった……という話。ジャンルとしては探索&逃げゲー。いくつかのグループに別れてしまうという、複数視点で物語が進む。
 本作の特徴としてはメイン(と思われていた)キャラクターが容赦なく、かなりえげつなく惨殺される。そのスプラッター表現は結構グロい。
 キャラクターを含めたゲームの再現度はなかなか高い。内臓を撒いたグロい死体が通路に落ちているなど、それっぽい出来にはなっている。原作で印象的だった壁の死体などは、なかなか嫌な感じが出ている。
 ……のだが、校舎が綺麗な現代風すぎる過ぎる(天神小学校って木造じゃなかったっけ)など、制作の都合を感じてしまう部分もある。またホラー要素のパーツパーツはいいのだけど、繋げ方の演出のせいか、繋げてみるとかなり安っぽく見えてしまう。吐瀉物がハチミツみたいだった。そのせいでグロシーンも、「ただグロをそこに用意してみました」という微妙な風に感じてしまった。
 あと一部役者の演技がきつい部分もある。前田希美に関してはホラー映画経験が多いからかわりと良い演技をしているが、あとは男主人公と大人以外は正直……。それと音声的な問題があったのか、時々アテレコになるのもちょっと。
 オチはちょっとわかりやすすぎることを除けば良い切れ味ではあるので、そこに至るまでが残念。
 
 完全に余談だが、EDが今井麻美の「BABYLON 〜before the daybreak」だったのは良い。




コープスパーティー Book of Shadows アンリミテッド版

(2016年公開 山田雅史監督) ★★☆☆☆
《2017-08-11》   

[呪い][幽霊][鬱][グロ][美少女][狂気][学園]

残酷な運命の歯車が再び廻り始める。

女子校生の直美は怨霊の棲む異空間で多くの仲間を失った。半年後、あゆみと直美は死んだ友だちを取り戻そうとする。
(Amazon)

 前作からの正統な続編で、同じ登場人物は引き続き続投。今回は前回の事件死んだ仲間たちを救うため、残ったメンバーで禁断の魔術を使い、再び天神小学校へ向かうという話。本作も同タイトルのゲームは一応あるが、(おそらく)生き残ったメンバーという初期条件から既に違うので多分話はまったく別(だと思う)。
 いうなれば「攻略法を知った上での二週目」である。テンポ良く端折りはするが、前半は前作の内容とだいぶ被っているのが難。
 廃校舎に前回にいなかったはずの登場人物が増えているなどの違いから徐々に物語がずれていくが、あまり変わり映えしない。微妙だった点などは基本、前回から直っていない。
 
 新しい登場人物である刻命の演技は舞台がかっているが、それはそれで合っていてかなりよかった。あとこれは個人的にはだが、主人公の一人の姉として出てきた石森虹花がなかなか不思議な雰囲気が出ていて○。
 オチは今回はいくらなんでもぶっ飛び過ぎな気がしないでもないが、それはそれとしてなかなか胸糞悪くて好みのタイプではあった。
 
 本作のED「砂漠の雨」も引き続き今井麻美でかっこいい。




こっくりさん 劇場版

(2011年公開 永江二朗監督) ★★☆☆☆
《2015-08-05》   

[呪い][幽霊][美少女][都市伝説]

38年の間 少年の怨念が封印されたままだった…

ある朝、女子高生・大島絵梨(鈴木まりや)の母・友子がテレビのニュースに釘付けになっていた。その視線の先は、少年の白骨化事件のニュースだった。 翌朝、友子が急死する。あまりの突然の死に絵梨は大きなショックを受けていた。後日、ある男が絵梨を訪ねてきた。 男は友子の友人の息子だと名乗り、また男の母親も数日前に変死した事を語る。男は友子の死を少年の白骨化事件と結び付けていた。 更に「こっくりさん」が少年の事件と密接な関係がある事も知る。絵梨は真相を知るため、母の故郷へと向かった…。
(Amazon)

 良くも悪くも平凡な作品。
 しょっぱなから不安を感じさせるカメラワークや物語運びは良く出来ていると思う。
 話のテンポはよく、38年前のこっくりさんブームと現在の変死が結びつくのは面白いが、偶然卒業アルバムから重要な手紙が出てきたり、なぜか話に詳しすぎる先生がいるなど、かなり強引なストーリー展開が目立つ。短いので仕方がないのかもしれないが、その他も説明不足だったりいろいろと気になる点はある。更に話の軸がこっくりさんである必然性があまりないのもいただけない。
 主人公は頑張ってはいるし死人のメイクもそれなりの出来ではあるものの、一部登場人物の芝居が棒なのも気になる。




骨壺

(2012年公開 永江二朗監督) ★☆☆☆☆
《2015-08-10》   


女子高生の絵里(松原夏海)は目立たない生徒だったため、みんなからは空気のような存在だと思われていた。逆に彼女の幼なじみの美津子(横山ルリカ)はクラスのリーダー的存在で、教師の市田(坪内守)からもしつこく言い寄られていた。絵里は彼女を守るため、中に入っている遺灰を口にした者は必ず死ぬといういわくつきの骨壺を手に入れる。
(シネマトゥデイ)

 山田悠介の小説の映画化。
 「飲んだものは死ぬ」という遺灰を手に入れた少女たちの話。誤って飲んでしまった先生が、突然飛び降り自殺をした。死体からはなぜか左腕が見つからなかった……。

 まず登場人物がほとんど気持ち悪い。先生を筆頭に、なぜだかわからないが、全体的に気持ち悪い。そういう意味でホラーなのか。

 遺灰の設定もよくよく考えると、意味がわからない。薬物反応が出ないので呪い無双できそうなものなのに、遺体から部位が失われる設定のせいでそれができなくなってる。
 確かに警察からの立件は逃れられるかもしれないが、明らかに自然死ではなくなってしまっている点で、そんなに崇められるほど万能なアイテムでもない。恐怖感は普通の毒薬と大して変わらない。なんでも突飛なアイデアにすればいいという問題ではないという、いい例である。
 呪いの発動タイミングもまちまちだし、後半になったら面倒くさくなったのか、部位を下半身ごと一気に持っていく。尺の都合をよく考えた亡霊である。

 ホラー要素に関しても、だいたいが死角からダーンのパターンでいまいち面白みに欠ける。オチもまるでギャグのようにしか見えない。

 あ、アイドルがたくさん出てるので、それ目当てで見るのはアリかもしれない。篠崎愛は結構可愛かった。




ゴメンナサイ

(2011年公開 安里麻里監督) ★★★☆☆
《2017-07-20》   


文化祭で演劇を披露することになり、学校で1番の秀才・黒羽比那子が脚本を書くことに。しかし学校内では不可解な死が続き…。
(Amazon)

 実際にあったという出来事を元にしたケータイ小説を映像化した作品。ハロプロのBuono!のメンバーが最初に挨拶をするシーンが突然始まる。
 女の子同士の感情のぶつかり合いに定評のある(当社比)安里麻里が監督していて、天才的だがいじめられている少女の書く脚本で劇をやることになったが……という話。この少女はなかなか不気味でよい。この女の子もBuono!のひとりなのだが、本編終了後インタビューと真逆でかなり驚いた。
 本編は大きく分けて2つのパートに分かれており、前半がその少女が学祭で使う演劇台本を書くにあたってのクラスでの騒動を、後半ではそこで起きた事件後とその少女の事情を描いている。この構成が正直微妙で前半はまだいいのだけど、後半が退屈になってしまっている。解決法もどこかで見たことがあるものの亜種で目新しさはない。
 しかし映画としての試み自体は面白く、ある人物の熱演もあってすごいことになっているだけ勿体無い作品。




コワイ女

(2006年公開 雨宮慶太、鈴木卓爾、豊島圭介監督) ★★★★
《2015-08-22》   


【カタカタ】ある日、帰宅したOL吉沢加奈子の元に「別れた女房に刺された」という婚約者・晃からの電話がかかってくる。振り返ると部屋の中には赤いワンピースを着て包丁を手にした異形の女が立っていた。加奈子をねらう憎悪の正体は何か? 赤いワンピースの女は誰なのか?
【鋼】工場で働く関口幹夫に、社長の高橋鉄が「妹とデートして欲しい」と一枚の写真を見せてきた。そこに可愛い少女が写っていた。約束の日、関口が高橋の家を訪ねるとズタ袋をかぶった妹・鋼がいた。そんな鋼に妙な愛着すら抱き始める関口。しかし後日、しつこくつきまとう鋼の奇行に耐えかねた彼は彼女を崖から突き落としてしまうのだが……。
【うけつぐもの】離婚を機に一人息子の道男を連れて実家に戻ってきた菱川冴子。その家で、道男は自分と同世代の少年の写真を見つける。それは行方不明になった冴子の兄・正彦だった。ある夜、道男は不気味な土蔵で、壁のある一点を凝視する冴子を目撃する。そして、それ以来、冴子は豹変し、冴子の家に伝わる忌まわしい血の記憶が今、明らかになる……。
(dTV)

 「女」をモチーフに、各短編を別々の監督が撮ったホラーオムニバス。

「カタカタ」(雨宮慶太)
 かなりテンポがいい。出てくる謎の女は怖いというより笑えるが、モンスターホラーものとしてスピード感は一応出てる。タイトルの通り「カタカタ」という音の使い方も結構上手い。ヘッドホン推奨。
 ひねりはあるもののオチは「まあ、そうだろうなぁ……」といったところ。

「鋼」(鈴木卓爾)
 独特の雰囲気で展開されるホラー。ズタ袋を被って足しか出てない女の子とデートする話。信じられないほど独創的。発想がトチりすぎてついていけない。あまりにシュール過ぎる。個人的にはかなり好きなタイプだが、絶対に好き嫌いは分かれる。香川照之も不気味でいい味が出てる。
 このズタ袋を被った鋼ちゃんがめちゃくちゃかわいい。「ズタ袋っ娘」という新ジャンルを開拓された。すごい。

「うけつぐもの」(豊島圭介)
 田舎、古い家、土蔵……と、転じてオーソドックスな伝奇ホラー。ある出来事を堺に人が変わってしまった母親を、子どもの視点から描いている。
 単純に和風ホラーといった感じで怖い。さほど尺がないからか、無駄な描写もなくテンポよく見られる。伏線の回収はやや雑なのと、ややテンプレートなのが難点だろうか。

 一口に「コワイ女」といっても、モンスター系、シュールなエロ怖、伝奇ホラーとバラエティ豊かな作りになっている。個人的にベストはやはり「鋼」。特殊すぎて万人受けはしなさそうだが、一風変わったホラーという点でかなり面白かった。一見の価値はある。
 一般受けしそうという点では「うけつぐもの」、最大風速の怖さでは「カタカタ」だろうか。




怖い警察

(2013年公開 オオタタケシ監督) ☆☆☆☆☆
《2015-08-26》   


暴走する“治安の番人”たちの、嘘みたいな恐ろしい話! 彼らは正義なのか、それとも悪なのか…… Episode1. ストーカー警官 Episode2. 出会い系 悪徳刑事 Episode3. 捏造 婦人警官 Episode4. 恐怖の復讐刑事
(GyaO)

「警察」を題材にしたオムニバスホラー。

Episode1. ストーカー警官
 警官はいい感じに気持ち悪いのに、ストーカーされる女性があまり可愛くない……。オチはまったく意味がわからない。
Episode2. 出会い系 悪徳刑事
 自業自得感高い。
Episode3. 捏造 婦人警官
 (あっ、この婦人警官わりとタイプだ)
 花門優さんって方らしい。
Episode4. 恐怖の復讐刑事
 自業自得じゃねーか。
 怖いというよりは、単純に気持ち悪い・胸糞悪い話ばかり。気持ち悪さ「だけ」は出ているものの全体的に安っぽい作り。警察官の服装もセリフも、すごく偽物感が強い。
 これ、この話の製作者、警察にどんな恨みがあるのかってくらい、かなり品がなくてひどい。下品すぎて見てるのがしんどくなってくるレベル。確かに冤罪とか色々問題があるが、これはそういう啓蒙とかを目指してるのではないってのがよく分かる脚本。そういうのを期待してる人にはまったくおすすめしない。
 三話の主人公である婦人警官がちょっとタイプだったのが唯一の見どころだった。




こわい童謡 表の章

(2007年公開 福谷修監督) ★★★☆☆
《2015-08-21》   


東京郊外の名門校、聖蘭女学院に転校してきた彩音(多部未華子)は、奇妙な幻聴に悩まされていた。そんなとき、寮のルームメイトで同じ合唱部員の奈々香(秦みずほ)が手首を切り、飛び降り自殺する。それ以来、彼女の周囲で変死や失踪(しっそう)が相次ぎ、一連の事件に童謡がからんでいることに気づいた彩音は、1人で真相究明に乗り出す。
(シネマトゥデイ)

 日本の童歌に隠された謎を探るホラー映画の前編。主演は多部未華子。
 舞台は全寮制のお嬢様学校。「かごめかごめ」「とおりゃんせ」「はないちもんめ」などの歌を呟きながら、少女が次々と消えてゆく。合唱部である多部未華子はひとり、その謎を追っていく。この作品は各わらべうたをテーマに、ある種のオムニバスの連作形式と解釈することも出来る。
 ホラー描写はわりと特殊。面白い描き方をしてはいる。事件が起きているのは現実か幻か、学園の閉塞的な雰囲気と相まって「ドグラ・マグラ」的酩酊感を味わうことが出来る。次々と怪異を畳み掛ける後半は結構圧巻。
 音楽もかなりいい。原田勝通さんという方らしい(BGMで感じたギャルゲっぽさはここにあったらしい。アニメの編曲とかしてる方のようだ)。EDテーマもどっかで聞いたことある声だと思ったら、志方あきこさんだった。BGM、ED共に本当に音楽がいい。

 惜しむらくはホラー部分もドラマも、全体を通して安っぽい作りな点。また構図というか描こうとしていることは面白いが、ある程度この手のシナリオに触れている人間なら、おそらくこの「表の章」単体のオチの予想がついてしまうことだろうか。
 本作単体では上手く評価出来ないが、いかに散りばめた謎を回収せしめるか。そこに期待して★3。




こわい童謡 裏の章

(2007年公開 福谷修監督) ★★★☆☆
《2015-08-21》   

[呪い][狂気][美少女][ミステリー][学園]

うたが聞こえるるるるる─―。

聖蘭女学院の音楽室で合唱部員12人が惨殺された事件から5年後、深夜の校舎から童謡が聞こえるという噂を聞きつけ、廃校となった校舎にテレビクルーが訪れる。取材に同行した音響分析官の響子(安めぐみ)が独自に調査する中、事件をなぞるように次々とスタッフが異変に見舞われ……。
(シネマトゥデイ)

 童謡の謎を探るホラーの後編。物語は前作「表の章」から五年後の世界となっている。
 前作で起こった『事件』の謎を、安めぐみが演じる音響研究家の女性がテレビ番組の撮影を通して解き明かしにいく。

 本作は前作とはかなり雰囲気が変わっている。纏っていた幻想的な雰囲気はなりを潜め、かなり現実的な内容になっている。それはホラー要素の欠損にも繋がってしまっているが、それは仕方のないことだろう。
 前半は事件の客観的な概要。この客観的な内容というのが、結構重要である。前作は良くも悪くも、多部未華子越しの物語だったからだ。
 前作の各童歌と同じ順(=事件のあった順)に謎を追っていく。あまりフェアな方法ではない(いわば探偵役が視聴者にはどうしようもない証拠を持っている)ものの、「彼女の身に起こったこと」を科学的にそれらしく解いていく様はなかなか面白かった。
 更に物語が進むにつれて、視聴者の知っている「物語」と少しずつ違いも浮き上がってくる。その伏線も地味ながらしっかりと張ってあったのは好印象を受ける。

 本格的なミステリを期待してしまうとどうしても難があるとはいえ、ホラーものの謎解きとしては及第点といったところ。個人的には結構好きなネタではあるが、ミステリと言い切るにはトリックに問題がある。明かされる真相が、(おそらくほとんどの人にとって)まったくといって意外性がないのもマイナス部分か。
 またホラー要素も取ってつけたような感じが否めない。「謎を解く」という性質上、やむを得ないことではあるし、前作であった「もやがかったような幻想性」がシナリオ的に表せられなかったという点も大きいかもしれないが、それにしてもという感じ……。

 前作を見てそれなりに楽しめた人間ならば、本作も期待しすぎず見れば、やはりそれなりには楽しめるだろうとは思う。想像以上には謎を解き明かしている。あと多部ちゃんが、いい役をしてる。
 余談だが、個人的にエンディングがキリトに変わってしまったのがちょっとショックであった(前作と同じ志方あきこがよかった)。






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