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都市霊伝説

 都市霊伝説 心霊工場 (2010) ★★★☆☆
 都市霊伝説 幽子 (2011) ★★☆☆☆
 都市霊伝説 クロイオンナ (2012) ★★★☆☆


都市霊伝説 心霊工場

(2010年公開 小沼雄一監督) ★★★☆☆
《2017-07-05》   


殺人事件や自殺の名所となっている廃工場に、撮影に訪れていたホラー映画監督のトヨカワに謎の影が迫っていた。一方、ホラーサークルの会長・恵梨にも出版社から同じ廃工場の取材依頼が舞い込んで来て…。
(Amazon)

 なんだかメニューが、Windowsムービーメーカーで作った雰囲気がある低予算ホラー。
 ちなみにこのシリーズ、以前に『都市霊伝説 霊視学園』という映画もあるが、プロデューサーが共通していて、制作会社が異なるため、一応別のシリーズということになっているっぽい。

 スピリチュアル系雑誌「アトランティア」の企画で、曰く付きの廃工場の探査をするよという話。ちなみにこの雑誌は実際に存在する。過去に取材した記者が行方不明になっているという。場所は変わり、イケイケなギャルたちが、ガチガチのオカルトサークルに入っているというちょっとシュールな映像が見られる。
 
 映像自体はかなり安っぽく、自主制作映画的な空気が感じられる。なのだが、下手にCGなどを使わず、撮影と少しの特殊効果とその繋ぎ方だけで撮ってやろうという気概もあるのが好感触(予算的な問題もあるのだろうけれど)。POVのパートはわりと怖い。そら、夜の工場は怖いよ……という気もするが、不気味な絵作りができている。
 話の進め方も、序盤の導入で退屈なところを全てやってしまい、中盤以降をほぼホラー映画的なシーンで埋める脚本の工夫も見られる。真相に関して、これは多少性癖に依るものもあるのだろうけれどだいぶ好み。
 ただオカルトサークルの面々が襲われるあたりは同じような演出が続くので、やや退屈な部分がある。
 
 ちょっと驚くほどの安っぽさからは目を逸らすことができず、それ故に人には勧めづらいが、そこに目を瞑れば低予算ホラーとしては十分面白い。





都市霊伝説 幽子

(2011年公開 小沼雄一監督) ★★☆☆☆
《2017-07-06》   


閉鎖に追い込まれたある廃校に、野島兼を先頭に数十人の同級生の男女が集まったが…。
(Amazon)

 自殺した女性教師の葬式で、夫から謎の遺書を貰う野島。『鏡の裏』。小学生のクラスメートたち十人が同窓会気分で集まり、卒業した小学校へ向かう。供養とは名ばかりで、彼らには目的があるのだった……。
 一応シリーズだが、まったく関係なく独立している作品。レーベルとかブランドに近い感じか。
 本作に限らず前作もなのだが、このシリーズの脚本は毎回幽霊を扱ったものだが、同時に人間の怖さにも焦点を当てている。
 前作で問題だった安っぽさは、少しはマシにはなっているが相変わらず。展開も「チャラいメンバーが次々と霊的存在に襲われる」という、良くも悪くも代わり映えのなさがある。一応過去の事件がキーにはなっていて、この事件自体は興味がそそられるのだが、思ったほど深追いせずに終わる。

 余談だが、本作のメニュー画面は前回より更に酷く、これフリー素材で作ったなという感じ。あとメイキングが異常に長い。





都市霊伝説 クロイオンナ

(2012年公開 小沼雄一監督) ★★★☆☆
《2017-07-06》   


心霊現象が多発する廃屋に主人公が勤めている遺品整理会社スタッフたちが心霊現象に遭遇する…。
(Amazon)

 シリーズ三作目だが、本作も独立している。幽霊が出てくるが、それと同時に人間の闇も描く作品。
 Amazonのあらすじにはこうあるが、別に「心霊現象が多発する廃屋」ではないし、主人公は遺品整理整理会社に勤めてはいない(主人公は多分別の人)し、この会社のスタッフはほとんど心霊現象には遭遇しない(全部違うじゃないか!)。
 これじゃ説明にならないので書き出すが、「主人公の妹は『黒い女』を幻視する。その女は夢の中の見知らぬ建物から現れ、そして現実に留まったのだという。その症状が悪化するさなか、その妹は妊娠が発覚する。ちょうどその頃、妹を妊娠させた男が務める遺品整理会社は、ある廃屋の清掃を任される。そこは、妹が夢の中で見ていた建物だった……」という話。
 そもそも遺品整理会社は本筋にはあまり関係なく、物語は主人公である姉妹と一人の男を中心にしている。
 前作、前々作までは大人数を徐々に減らしていくタイプのホラーだったのが一転、非常に狭い人間関係での話になっている。いままでとは違う切り口なのは良かった。

 本作、どうしても「よくわからない」という感想が出てきてしまう。一見重要そうな要素なのに、最後まで見ても回収されない部分がちょこちょこ出てくる。遺品整理会社の先輩などがそのいい例(本来のプロットは遺品整理会社スタッフが怪異に襲われる話だったんじゃないかという気がする)。
 派手さこそあまりないが、この作品の登場人物たちの「生きづらい」という閉塞感が画面越しに伝わってきて、なかなか鬱々とした気持ちにさせてくれる。その部分が偏愛的要素なのでこの評価。
 あとこれ、高部あいが主役で「あ、はい」となったよ





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