(シネマトゥデイ)
ミステリ作家である今邑彩の同名小説を原作にした映画。物語は火災になった部屋を捜査官が調べるところから始まる。原作は未読。
本作は暗影や人影などを使って不安を煽る、全体的にややホラー的な作りになっている。ちょくちょく挿し込まれる深田恭子の意味深で不穏な演技が、ある程度作品を飽きさせない工夫として描かれている。深田恭子の二面性はかなり恐怖ではある。
序盤見ていた時の「これ深田恭子と北川景子の百合作品だー!!」をかなり大きく裏切られる展開の連続(まあ、原作が今邑彩なので察して案件だけど)。ちょっとしたギクシャクから垣間見えてくる、深田恭子の怪演が光る。
「ルームシェア」という性質も、自宅に逃げ帰っても恐怖は終わらない、という点はホラーとしてそれなりに上手く出来てはいる設定である。
……しかし本作はかなりもったいないところで損をしている。ネタバレになるので詳しくは書けないが、それはある視点から見ると、ただひたすらに致命的なのである。それで評価できないという事態になってしまっている。
本作は何も深いことを考えず、ホラーサスペンスとして見ればそれなりに楽しめはするかもしれない。特に北川景子・深田恭子のファンにはオススメできる。深田恭子が本当に可愛いんだ……。
+クリックでネタバレ感想
北川景子=深田恭子っての自体は否定はしないが、あまりにアンフェア過ぎる。これは伏線がほとんどない、というのが完全に致命的(一応、深田恭子が多重人格である→そもそも北川景子が多重人格というミスリードと非積極的な伏線を同時に描いてる点だけは技術的には上手いとは言えるが……)。また北川景子が多重人格なのだとしたら、明らかに描写に虚偽の内容が混ざっている(母親に電話するシーンなど)のが擁護しきれない。
ラストもダラダラで、正直最後のいざこざは取ってつけた感がかなり否めない。伏線もほぼなければ、心理描写も無し。意外性に関しても、伏線がほぼ張ってない(あんな四人目の子のボカシ映像は伏線とはとてもいえない)ので「はあ、それでどうした」感がかなり強い。多分原作ではこの辺り、ちゃんと伏線入れてたんじゃないかなと思ったり(でなきゃ、四人目の女の子を住ませる意味がほとんどない)。