baseline和ホラー映画日和 な

 七つまでは神のうち (2011) ★★★★


七つまでは神のうち

(2011年公開 三宅隆太監督) ★★★★
《2017-07-18》   


複数の失踪事件が謎を呼ぶ傑作サスペンススリラー。10年前の事件をきっかけにトラウマを抱え、心を閉ざしたまま教会に通い続ける女子高生の繭。そんな彼女がある日、深い森の奥で忽然と行方をくらます。一方、愛する夫・娘と平穏に暮らしていた真奈。しかし、7歳の娘が森に遊びに行ったまま帰ってこず、幸せが突然引き裂かれる。次第に真奈の精神が崩壊していく…。
(Amazon)

 昔暇すぎてビジネスホテルの有料チャンネルで見始めて途中で寝たような記憶があるが、改めて見直し。

 本作は失踪――いわゆる『神隠し』をテーマにした作品。とりわけ『少女たちの失踪』というのがメインとなっている。
 序盤から「不審者に拉致されている途中の少女を見つけてしまう」という結構いやあな展開があり、かと思えば次は別の少女を主人公にして幽霊的な現象に襲われるシーンに繋がる。これらパラグラフ毎の繋がりが中盤までまったく見えず、視聴者の不安感を煽る。
 そんな不安定な状態に投げ込まれるホラー要素はかなり高く、寒気がしそうなシーンや驚く場面も十分にある。これら要素、シナリオ、音楽、画作りに効果音、ほんとうにすべての要素が、視聴者を不安にさせてくる。
 
 後半で、序盤のバラバラだった失踪事件が、一本の線で繋がっていく。このシナリオを効果的にホラーで使用する為に、結構テクニカルなことをしているし、その伏線もなかなか丁寧に配置されていた。そしてその積み重ねの上に立てられる、このラストのえげつなさ。「教会に通うようになった少女」を日南響子が演じているが、この陰気の綺麗さは本作とマッチしていて非常に綺麗に写っている。
 いい意味で胸糞悪くなれる偏愛的な一本。
 
 ……おそらくだけど、ゲームの『零』シリーズだとかの、気分が滅入るルートのエンディングとかが好きな人なら、楽しめるのではないかと思う。
 反対に、部分的に回収されていない部分や釈然としない点が無視できない数あるので、「全部解決してなければダメ」っていうタイプの方にはおすすめしづらい(本当は★5にしたかったが、この部分を客観的に見て★4にした)。
 なお本作、小説版が出ており、映画で描かれなかった部分が書かれていて評判がいいのでそちらも今後探して読みたい。こんな好みなら、初見時に寝るんじゃなかった……。







ページのトップへ戻る