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完全に
前作の続きだが、一番最初に驚くほど丁寧なダイジェストがあるので一応未見でも大丈夫(それでいいのか?)。
時系列としては前作の一年後にあたる。今度は学園モノ。仲村みう……仲村みう! 仲村みうじゃないか!
本作はこの出逢えば回避不可の切断攻撃をする怪異のテケテケを、「復讐の道具」として使う、スクールカーストものの学園ホラー。実は仲村みうはこの怪異を利用する側であり、彼女とテケテケに対抗しようとする女の子の方(岩田さゆり)が主人公だったらしい。前作と同じことを繰り返すのではなく、全く別のアプローチでテケテケを扱おうというのが感じられる。
っておい、この悪い女たちのグループのリーダー役、松嶋初音、松嶋初音じゃないか! なんだこの性癖の狙い撃たれている感は……。
狙っていたのかはともかく、前作の細かいネタや要素の拡大解釈を元手に伏線を捏造し、あるもっともらしいルールを作り上げたのには脱帽(やや無理筋な感もなくはないが)。
そういうところは上手いのだが、ホラー映画としては致命傷な部分もある。テケテケにしても、「高速移動しながら相手の胴体を両断する」という怪異の特性上、それ以外の死のバリエーションがまったくない。前作から見ているひとならば、余計に食傷気味になるだろう。ホラー映画的な部分は前作から代わり映えしない、という評価になってしまう。
鉄男
(1989年公開 塚本晋也監督) ★★★☆☆
《2017-07-31》
ある朝目覚めると、平凡なサラリーマンの頬に金属のトゲのようなニキビが…。その日から男の身体の中で肉体と金属の壮絶な戦いが始まった…。ペニスまで金属ドリルと化した男は、恋人をえぐり殺し、“やつ”と合体した鉄のかたまりとなって、都市の荒野に叫ぶ。「世界中を錆くさらせて宇宙のもくずに帰してやろう」「俺たちの愛情で、世界を燃え上がらせてやる」。世界へ向けて巨大なメタルサイキックウォーズが始まる!
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「普通サイズの怪人シリーズ」と銘打った、独特の空気感があるサイバーパンク的作品。
「早く走るために自らの人体を改造するが失敗、傷口から蛆が湧いているのに発狂し、車に轢かれる」という、とんでもない狂気のシーンから物語が始まる。この改造シーンからもわかるように、本作は『金属』がキーワードとなっていて、白黒映画がその金属の陰影を強く印象に残すのに効果的になっている。
主人公は頬から金属片が出てくるのを皮切りにして、体中が徐々に金属(というか機械部品)になり変わっていく。「制御出来ない変化」を描いたホラーであるが、それ以上にSFバトルモノ的な雰囲気もある。ストップモーションを用いて、実写でこのネタをやることで、見るものに他では味わえない感覚を植え付けてくる。
……のだが、本作は話自体は単純だが、セリフも含めて説明が結構少なく、なかなか追いづらいことになっている。それはそれで作品としてはアリではあるものの、合わない人にはとことん合わないだろう。またラストのしっちゃかめっちゃか感も、好き嫌いが分かれそうである。
デビルマン
(2004年公開 那須博之監督) ☆☆☆☆☆
《2015-08-04》
両親を事故で亡くした高校生の不動明は、クラスメイトの美樹の家に引き取られた。ある日、無二の親友である了の父・飛鳥博士が研究中に誤って覚醒させてしまった邪悪な生命体“デーモン”に体を乗っ取られてしまう。完全に支配された了とは違い、人間の心を残した“デビルマン”となった。一方、デーモンを恐れた人間たちはデーモン狩りを決行。疑わしい者が次々に処刑されていく中で、美樹の一家も犠牲になる。最愛の人たちを失い、怒りと悲しみに苛まれる明=デビルマンは、人類殲滅を画策するデーモン族を潰滅すべく立ち上がる。
(dTV)
というわけで(どういうわけなのかわからないが)実写デビルマン。2分に一度は時計を見てしまう。根本的に役者が大根である。話が進めばマシになるかと思えば、棒読みがどんどん酷くなっていく……。
「俺、デーモンになっちゃったよ」
「ハッピーバースデー、デビルマン!」
緊張感のない演技。見ていて虚しい演出。
「細胞が細胞を呼ぶ感じで」
無駄なボブサップ。破綻したよくわからないストーリー(原作読んでないからだけど)。友人の顔に容赦なく鉄拳をぶち込むデビルマン。死ぬ間際まで親切丁寧なジンメン。
謎ラップ。謎の小林幸子。謎重箱。
「あ~~~」
(力尽きた)
渋谷飛鳥演じるミーコ関連のシーンは良かった。化粧をするシーン。なんで日本刀で戦うのかわからんけども。
TERROR OF HOUSE テラーオブハウス
(2015年公開 角田裕秋監督) ★★★★☆
《2017-07-17》
男女6人の共同生活を記録するTV番組「テラーオブハウス」を舞台に繰り広げられるホラー。志望する夢を叶えるため、ルームシェアに新たに加わった美咲。しかし、思っていたのとは違う妙な様子に、美咲は……。
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夢のある若者たちが共同生活する番組(どっかで見たことあるな……)の撮影。洋楽をBGM(どっかで聞いたことあるような……)に、名前と共に職業や夢を表示してくれる(どっかで見たことあるな……)親切なOPである。そこに新メンバーとして男女が一人ずつ入ってくる(どっかで見たことあるな……)ところから始まる。男女六人の夏が始まる――。
……本作はまあ当たり前だが、某番組のパロディー的な作品である。男女六人の共同生活をカメラに映した、ドキュメント番組の形でストーリーが進んでいく。基本的には某番組のような若い男女のやり取りや夢への不安だとか、なんかそんな感じの進行なのだが、その合間に妙な間があったり、唐突に変なシーンが紛れ込んだりと、不穏な雰囲気が漂っていく。
見れば見るほど徐々に違和感が増えていき、だんだんと理解が追いつかなくなるのが本作の醍醐味だろうか。本作、かなりとんでもない方向に向かっていく。
実は本作、「ホラー」と言い切っていいのかよくわからない。一応ホラー的な描写もあるがまったく怖くはなく、むしろブラックコメディ的な要素すらある。いやホラーといえばホラーなのだが、なんだか独特の味がある一本である。舞台コント的ホラーとでも言うべきか。
伏線の撒き方と回収は本当に上手く、物語も過不足なく綺麗に収まる。完全に見入ってしまったし、見終わったあとも非常にすっきりした気分にさせてくれる。派手ではないものの、十分面白い作品だった。
TENBATSU
(2010年公開 田中善之監督) ★★☆☆☆
《2017-07-19》
高校のホラー文学研究部に所属する結季は、部長であり彼氏でもある佐野に近付く部員の綾美に嫉妬を覚えていた。そんな折、学園七不思議の噂を聞いた結季は、その呪いの儀式を実行してしまい…。
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『ホラー文学研究部』というなかなかコアな部活を舞台にした、一時間ほどの短めのホラー。イケイケの女子高生がそんなにホラー文学が好きだなんてそれなんてエロゲ?って感じだが、まあそれはそれ。
雰囲気としてはみんなのトラウマ、「金田一少年の事件簿」の『学園七不思議殺人事件』みたいな雰囲気のあるストーリー……というか、ある要素がほぼこれなので、多分参考にした感じがある。
「呪いたい相手の名前を書いて包帯で巻き、開かずの部屋にある絵馬掛けにかけると天罰を落とす」というホーリー様という女の霊。この天罰の方法が、「石を上から落とす」「石で殴る」というかなり原始的な暴力なのだが、肝心のその演出がかなり微妙。ストーリーの構図自体はわりと面白いし、オチもなかなかいいだけに、そのシーン含めホラー要素がことごとくしょっぱいのが勿体無い。