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 私の中のアイヒマン(2006) ★★★☆☆


私の中のアイヒマン

(2006年公開 内田英治監督) ★★★☆☆
《2015-09-12》   

[狂気][哲学][学園]

誰にだって、心の中にアイヒマンがいる…

高校演劇コンクールで『アンネの日記』を上演することになった演劇部のメンバー7名の少女たち。
特別講師としてやってきたミズキレイコは幸せに暮らしてきた彼女たちではアンネが過ごした暗い時代を表現することは不可能であり、
このままコンクールへ出場しても優勝は出来ないと断言する。そこで彼女が提案をしたのはロールプレイングだった。
その内容とは・・・戦時下、ある架空の収容所における人間関係。そこでアンネ・フランクが生きた時代の極限状態を演じてほしいという。 そのロールプレイングを行う中、友情はやがて支配と服従の関係へと変化し、
少女たちの人格が崩壊していく――彼女たちの迎える結末とは!?
人間の中に潜む残虐性”私の中のアイヒマン”とはいったい何なのか?
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 「アイヒマン実験」というものがある。いわゆる閉鎖的な環境下での、権威者の指示に従う人間の心理状況を実験したものだ(スタンフォード監獄実験ともいう)。

 女子高生の少女たちは演劇コンクールで「アンネの日記」を演ろうとする。そこで助っ人のOGが、「この脚本には悪意が足りない」という。幸せそうに生きた女生徒たちでは、アンネの日記を表現できないと。
 そこでOGは「ある架空の収容所」におけるロールプレイを提案する。これがいわゆるアイヒマン実験である。これをきっかけに、女生徒たちはアイヒマン実験の役割に取り込まれ支配者は暴力的になり、少しずつ関係性がギクシャクしてくる。
 平等だった生徒たちを、囚人と監視役にわけ、監視役は非暴力で……言葉で囚人を傷めつける。それは徐々に、ロールプレイという枠を飛び越え、彼女たちの現実に侵蝕されてされていく。

 ……とまあ、ぶっちゃけ日本の女子校版「es」(海外のスリラー映画)というか。このアイヒマン実験を女子高生でやってみたら、といった感じの映画。
 しかし誰が言ったか「少女は感情を増幅させる装置」。なるほどこれを、女子高生で作ったというのは一種の面白い試みだとも思う。演技もともかく、表情がいかにも性格が出ていてえげつない。
 解決方法もなかなか面白いし、ラストで明かされる構図や展開も結構いやぁな感じが出てていい。
 ただ、やや淡々としすぎていること(というか演出がろうけど)で、見ていてちょっと飽きが来てしまうのが難点。特筆して悪い点を挙げるところもないが、良い点もそこまではない。題材が面白いだけに、結構地味に終わってしまったのがもったいない。あとホラー要素はまったくない。





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