(シネマトゥデイ)
「汝は人狼なりや?」、通称人狼ゲームを題材にしたデスゲームものの映画。ジャケットとは裏腹に、とても質素な部屋で繰り広げられる。
夜八時に投票し、九時までに人狼と思われる人物を殺害する。殺せなかったり参加を拒否する、その他ルール違反をすると全員死亡するらしい。村人側か人狼側、勝った方に一億円が払われる。
人狼2、占い師、村人という構成。
演出なのかもしれないが、主人公をはじめとした登場人物のほとんどが見ていてイラつく。いちいち動きが遅かったり無意味な引き伸ばしが多く、テンポがかなり悪くなっている。
「一回目に誰が誰に投票したか覚えていれば手がかりになります?」→「大いになります!」→「覚えてません……」の会話には、本当に唖然とした。あとで回収されるとしても、あの会話は必要なかった。それが二時間もあるのだからたまらない。
人狼のうちひとりはメタ視点から見てしまうとバレバレなのが映画として面白くない。登場人物……特に主人公への共感性もゼロだから、映画に入り込んで見ることも出来ない。
解決の決め手も脚本者のご都合主義で最悪だった。人狼側は銃を使える設定なのだが、視聴者にもう一人の人狼をわからせる為に「なぜか素手で殺して傷だらけ」になって出てくる。情にほだされたのか、意味がわからない。そもそも人狼がふたりともほぼ自白という展開は、人狼ゲームとしてどうなのか。
主人公に関しても、途中から吹っ切れるのだが、そのきっかけが全く描かれておらず、二重人格かあるいはサイコパスにしか見えない点もマイナス。
強いて良かった点を挙げるのならば、桜庭ななみの後半が可愛かったこと、人狼側の演技が上手すぎて逆に引くことくらい。とにかく合わなかった。
人狼ゲーム ビーストサイド
(2014年公開 熊坂出監督) ★★★★☆
《2017-08-05》
突然、ある部屋に連れて来られた10人の高校生が人狼ゲームに参加させられる。人狼のカードを与えられた樺山由香は、村人役を殺さなければならず…。
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「汝は人狼なりや?」、通称人狼ゲームを題材にしたデスゲームものの映画。一応は
前作の続編だが、登場人物たちは一新されている。今回のゲームは前回の役職に更に、相方の役職が村人だとわかる「共有」と、夜の襲撃の際に一人だけ守ることができる「用心棒」(俗にいう狩人)が追加されている。たしか狼狼占共共狩村村村村だったと思う。それ以外のルールは前回と同じ。
本作はビーストサイド……すなわち人狼視点の物語。なのでしょっぱなで主人公である土屋太鳳が人狼側なのと、その相方も明かされる。「いかに人狼が他の村人たちを殺していき、逃れるか」というのが主なテーマとなっている。ある種の倒叙ものとも言えるだろう。「犯人が最初に開示されている」という点で、前作の『メタ視点ではバレバレなので白ける』というのを根本から回避できている。
あまり知的とはいえなかった前回のメンバーから一転、今回のメンバーには人狼ゲーム経験者なども多く混じっており、(一部を除いて)結構駆け引きがある。高校生なので当然、感情的に動く人間も出てくるが、その動きにしても、「なぜそんなふうに動いたのか」という部分にきちんと前もってバックボーンを作っていたのは好印象。最後の投票の部分や、そのあとのシーンなどはかなりよく出てきていて、なかなか心に来るものがあった。
……しかし欠点も結構多い。ルールのガバガバさだったりするシナリオの不明瞭さもそうだし、(必要があるとはいえ)歌ったり踊ったりするシーンが間延びしている演出など。あとデスゲームにありがちな首輪的アイテムが、ピップエレキバンみたいにシールで貼るタイプなのは「さすがにそれは」となった。
それらを差し置いてでも土屋太鳳演じるエキセントリックな少女が周りの人々を殺しに行こうとする話、そういう美少女が好きな人は見てください。
人狼ゲーム クレイジーフォックス
(2015年公開 綾部真弥監督) ★☆☆☆☆
《2017-08-05》
「ゲーム終了時に生存していること」を勝利条件にゲームがスタート。“わたし”はその場にいた男の子にひと目惚れし…。
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「汝は人狼なりや?」、通称人狼ゲームを題材にしたデスゲームものの映画の第三弾。本作も登場人物は一新。
前回の役職から共鳴者を抜き、吊った相手が人狼か否かを確かめられる「霊能者」、占われると死ぬがゲーム終了まで生き残っていると一人勝ちになる「狐」が追加されている。……のだけど、霊能者も狩人もほとんど出番がなかった。内訳は狼狼狼占霊狩狐村村村村村だったと思う。人狼が3人になっている。
前回の簡単なパッチみたいな殺害装置はさすがにリアリティがなさ過ぎたからか、今度は(安そうな作りだが)それっぽい首輪になっている。その他にも、役職カードは見ても見せてもペナルティとなる(実際には使われなかったが前作だと、「見た方だけが」ペナルティ対象になるため、強引に見せた場合、見た人が死ぬというむちゃくちゃ穴のあるルールだった)など、過去作の悪い部分を改善した形跡はある。今回は吊りも運営側がリモートでやってくれるので、別にみんなで殺したりする必要はない。とまあ、ここまでがいいところ。
本作は主人公である狐視点と、それと同時に狼の視点も差し込まれる。この構造のせいである程度の人数の役職が早期にわかってしまうというデメリットもあったが、まあそれは些細なことで、この作品は心理ゲームものなのに、だいたいの人間が喚き散らすことでなんとかしようとしてしまう。どんどん知能指数が下がっていくのは
前々作の悪いところをまた繰り返している。
オチというか少しネタバレになるが、逆転の一手がただ「情に訴えて喚き散らす」というのはほんとやめてほしい。意外性もクソもなく、単に「主人公を生かして物語を終わらせる」という作者の都合がバリバリの突発的感情から来た行動で終わる。