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Jホラーシアター

感染(2004) ★★★☆☆
予言(2004) ★★★★
輪廻(2006) ★★★★★
叫(2007)
怪談(2007)
恐怖(2010) ☆☆☆☆


感染

(2004年公開 落合正幸監督) ★★★☆☆
《2015-07-31》   

[グロ][病院][狂気]

こっち来ないで。

薬の供給も追いつかない劣悪な環境の古びた病院に、奇怪な症状を患う急患が担ぎこまれる。見たこともない状態にたじろぐ医師たちを尻目に、赤井医師(佐野史郎)は“この患者の研究治療は病院の経営危機を救うチャンス”と力説するが……。
(シネマトゥデイ)

 経営が逼迫した状態の病院を舞台にしたパンデミックホラー。
 序盤から視聴者の精神をガリガリと削っていく、嫌な雰囲気が漂う薄暗い病室。どこか正気を失ったような患者や医者たち。狐面の少年、鏡に話しかける老女、身体中包帯まみれの患者……。医者や看護師も、なにかを孕んだような人間だらけである。
 ホラー的演出を絡めながら状況説明や登場人物の背景を同時に描いていく手腕は、無駄がなく上手い。最初から次々と問題が起きて、息つく暇がないとはこのことか。一時間半があっという間に過ぎ去っていくパニックホラーだ。
 ……一見、こう要素を書いていくと「ジャパニーズホラー」らしくないが、本作の雰囲気は間違いなく日本のホラー映画のそれだから不思議だ。パニックホラーといえど、やはりジメジメギトギトとしたものは、そして感染症を契機に浮き彫りにされる人間の狂気は、日本のホラー映画の持ち味なのだろう。
 本作はホラーによる恐怖というより、気持ち悪さが勝る、嫌悪感の塊のような映画。注射器はみんなのトラウマ。

 それにしてもこの映画、『予言』と同じく見たの二回目なんだけど、初見時は『感染』>『予言』だったのに、今見ると『感染』<『予言』だなぁ。歳か……。

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予言

(2004年公開 鶴田法男監督) ★★★★
《2015-07-30》   

[呪い][感動]

これがあなたの運命だ。

里見英樹(三上博史)は、妻・綾香(酒井法子)と娘とともにドライブ中に、電話ボックスで古びた新聞を見つける。そこに掲載されている記事に目を通すとそれは自分の娘の死亡記事だった。
(シネマトゥデイ)

 つのだじろうの「恐怖新聞」の設定のみを借りて作成された映画。原作「恐怖新聞」の主人公である『鬼形礼』の名前も一応だが出てくる。
 父親が娘の死を予言する新聞を拾う。その新聞の予言通り、娘は死んでしまう。

 本作はホラーとしては見どころはほとんどない。たしかにところどころ嫌ぁな雰囲気のある不気味な描写はあるものの、どちらかというと心霊を扱ったサスペンス、そしてある種のヒューマンドラマや過去改変ものに近い。同時上映された「感染」の方は、バリバリのホラーだった気がするので、上手くバランスは取れてたのではないだろうか。
 序盤は状況というか設定説明の為か、あまりにも淡々と進みすぎていてやや退屈である。しかし後半は「このまま恐怖新聞による予言を受け続けているとやがて死に至る」というじわじわとした恐怖感が出てきて良くなる。そして終盤のある予言のあたりから、雰囲気は一変する。
 いかにして予言を回避するか、そして主人公の選ぶ選択とは。
 なんともホラーっぽくない不思議な後味を感じたいのならば、本作は是非おすすめである。

 ちなみにちょい役だが電波少女として、堀北真希がキャスティングされていることにも注目。本当にちょい役なのがもったいない。

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輪廻

(2006年公開 清水崇監督) ★★★★★
《2015-07-21》   


昭和45年、群馬県のホテルで無差別惨殺事件が起こる。35年後、事件を映画化しようとする映画監督・松村は、主演女優の渚らを連れて現場のホテルに足を踏み入れる。
(Amazon)

 輪廻転生という概念がある。肉体は魂の器でしかなく、魂は次の肉体に引き継がれる。もしもその前世の記憶があるとするなば――いわゆる輪廻転生論の前世を扱ったホラー作品。
 昭和45年に群馬県粕川郡の尾野観光ホテルで起きた無差別大量殺人事件を、椎名桔平演じる監督が映画化しようとし、その主役に優香が選ばれる。
 ホラー的にはさほど怖くはない。ひょっとしたら最序盤の、人形の顔が崩れるシーンが最も怖いかもしれない。だがこの映画の本質はそこにはない。この映画は、構図の妙とそれを支える演出を楽しむべき映画だ。そういった点では一時間半、安心して見れるだろう。

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恐怖

(2010年公開 高橋洋監督) ★☆☆☆☆
《2018-06-28》   

[狂気][幽霊]

お母さん、私の脳味噌をどうするの?

幼い頃、不思議な白い光を見た姉妹。その17年後、姉のみゆきは死への誘惑に憑り付かれて失踪してしまう。妹のかおりは姉の行方を追う中で、異様な脳実験を繰り返す母親と再会し…。
(Amazon)

 その、なんだろう……はじめの15分ほどの最大風速はかなり高い。
 頭を繰り抜き、脳味噌をいじるという非人道的な実験をする映像から、どこに繋がるかわからない奇妙な病室のシーン。ここまでは本気で傑作な雰囲気があった。
 ……が、急にわけがわからなくなる。話の根幹としては、パスカル・ロジェの映画『マーターズ』のような、外科的手段で『向こう側のナニカ』を見ようという思想があるのはわかるのだけど、ある種その為の方法を描き続けるというシンプルだった向こうに対し、こちらはそれによって『何が引き起こされたか』が描かれているのが大きくて真逆な違い。なのだけどあまりに説明を放棄しているせいでよくわからないことになっている。
 最序盤や要素、あるいはシーンで部分的にはなかなか「オッ」と思うし、ジャケット(というかポスターというか)のビジュアルもホラーホラーしていてよかったのに……。
いずれ確認のためにもう一度見たいなぁとは思うものの、なかなかする気にはならなそう。




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