baseline和ホラー映画日和 ゆ

 幽鬼 (2016) ☆☆☆☆
 幽霊ゾンビ(2007) ★★★☆☆
 行方不明 (2012) ☆☆☆☆


幽鬼

(2014年公開 岡本英郎監督) ★☆☆☆☆
《2015-07-26》   

[短編集][怪物][コメディ]

みそめられたら最後、もう逃げられない

美鈴は、ねこのみと呼ばれ業界では、うかつなことが多い編集者として知られている。
今日も連載小説の原稿もタクシーの中に忘れ山村編集長から大目玉。
気を取り直して専属ライターの神崎真白の元に次号の特集記事の相談に行く。
真白の個人メールボックスには、奇怪な事件の体験報告メールがたくさん来るのだ、
高校時代のテニスサークルの会で遭遇した怪事件報告、キョンシーを呼び出すおまじない体験談、
アパートに出る幽霊遭遇事件など。ねこのみは、その中の一通のメールに目が止まった。
「お姉ちゃんの彼氏の浮気相手は、蛇女」取材しようと言い出すねこのみに
真白は「これには関るな! 」と一喝するが・・・。
(Amazon)

 最序盤の全体的にセピアがかった画面構成はどこか不気味であり、雰囲気作りは出来ていた。特に序盤の着物の女性の横顔は奇妙だった。しかしホラー描写がチープであり、あまり怖くない……というかベタというか。口元を隠した女はだいたい化け物の口を持っている。効果音は怖い。
 次々とうさんくさい登場人物が出てくる。軽いノリで進むストーリー。何を隠そう、本作はホラー兼ゆるゆるコメディなのである。

 本作はメールで体験談が送られてくる、という形式でショートエピソードが三編挿入される。しかし「霧の中の死人憑き」は結局モヤモヤを残すし、「おまじない」も怖くはない。
 しかし「アパートの怪」の雰囲気はブラックな後味でわりといい出来。

 というわけで本編が進むのは30分後あたりからである。物語のメインである「蛇女の姉妹」。しかしこのメインパートが正直退屈で眠くなってしまった。ネット怪談で読んだようなベタなストーリーである。そしてしまいには妙なCGで、謎のモンスタームービーへと変貌する。せっかく最初は和風ホラーの雰囲気が出ていたのにもったいない。
 おかずクラブのゆいPが良いキャラをしてるだけに、やっぱりもったいない。コメディならコメディに、ホラーならホラーに。どちらかにして欲しい中途半端感である。

 おまけエピソードも謎の妖怪が出てくるだけで、オチがなくて特に面白いとは思えなかった。




幽霊ゾンビ

(2007年公開 白石晃士監督) ★★★☆☆
《2015-09-19》   

[コメディ][幽霊][グロ][怪物][ゾンビ]

ホラー界衝撃! 幽霊+ゾンビの異色ホラー!

アイドル・遠野実花のファンであるタクシー運転手・齊藤は、ある日誤って異端の民族学者・平野を轢いてしまう。それ以来、平野の幽霊に悩まされる齊藤。そこで、心霊交信機なるものを購入し、平野と交信する。すると平野は齊藤に主神村に行くように指示。齊藤は主神村に行ってみることにしたのだが……
(GyaO)

 「生きてるって気がしないわけよぉ」という言葉から始まる芸人ノッチが主人公のゾンビホラー。ドルオタの主人公のタクシー運転手は「全開だぁ!」と言って男性をいきなり轢き殺してしまう。それから男の幽霊に悩まされてしまう。主神村という田舎へ、心霊交信機という謎のYesNo機械を持って向かう。
 全体的にゆるくてシュールなコメディよりの作品。鼻くそを人の背中につけてしまい、それを取るために若者たちは誰も学者の話を聞いていない。そして「パンクスだぜ!」と鬼の封印を破ってしまう。なんと本棚に彼岸島が!(笑)
 鬼の封印を破ったことで村中の人間が次々とゾンビになっていく。なかなかゴアなスプラッタ表現がある。ゾンビの首とかたやすく吹き飛ぶ。

 ただでさえ少ない尺の中で、同じシーンをやるなどのほんのすこしだけ無駄が見られるが、ある程度テンポはいい(同じシーンをやるのは、「話の裏側」を表してるという意味で必要ではあるが)。低予算ながら各登場人物に見せ場があり、奇妙な縁で寄り集まった人々の、無駄に順応性の高い動き(幽霊含む)も見ものである。
 ガチホラーを期待してはいけないが、ゆるゆるなコメディホラーを見たいひとは、短いので気楽に見ることができる。



行方不明

(2012年公開 川野浩司監督) ★☆☆☆☆
《2015-07-25》   


撮影のため無人島に到着した大学の映画サークルのメンバーたち。その中にはヒロインに迎えられた女優、高田里穂(高田里穂)の姿もあった。携帯電話やインターネットも圏外の島で、2日間の撮影が無事に終了。しかし、やって来るはずの迎えが来ない。数日後、メンバーの一人が無惨な姿で発見され、メンバーは疑心暗鬼になってしまい……。
(シネマトゥデイ)

 「オフリミット」なる自主制作の映画を撮るという設定のPOV形式のフェイクドキュメンタリー作品。脚本は『放送禁止』などを手がけた長江俊和。

 まず映像の繋ぎ方が雑。ノイズ走らせればいいってもんじゃない。
 よくいえば大学生のノリっぽさは出てるものの、見ていてちょっとつらい。あと誰の視点(カメラ)なのかわかりづらい。RECアリがメイキング班の女の子、枠なしが監督の女の子である。あとはわかりやすい。
 登場人物間のギスギス感を伝えたいのはわかるが、視点人物がヘイト稼ぎまくりなので見ていて気分が良くない(ホラーに気分の良さを求めるのはアレだが)。

 無名の先生役がなだぎ武と有名人なので、モキュメンタリーである利点が完全に失われてる点もマイナス。主役が高田里穂と実名で出演しているのは解釈のしようがあるとしても、さすがにそれは頂けない。
 さらに30分以上何も起こらない。延々とギスギスした人間関係か無意味なシーンを描いてるだけ。正直飽きてくる。迎えが来ない極限状態といえば聞こえはいいが、元々ギスギスしてたのであまり変わり映えしない。

 30分超えたあたりから事件は起き始める。
 が、何か登場人物が的確なアクション起こすわけでもなく、必要のあるのかないのかよくわからない映像を撮り出す。そして散々引っ張ってわりと散々な結末。
 一応ラストに違和感を回収するオチがあるわけだけど、明確にスッキリとするものでもなく、かといって『放送禁止』シリーズのような考察の余地がそんなにある内容でもないという……。

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